保育雑感

No112.平成24年7月号 「七夕祭り」

日本中が猫も杓子も空を見上げた金環日食は、天体ブームが巻き起こし、流行に敏感な若い女性達の間では宙ガールが急増しているとか。昨今あまり人気のなかった日本古来の七夕の行事も、金環日食の余波で、今年は天の川を見上げ七夕を楽しむ人も増えるのではないでしょうか。保育現場では、流行り廃れなく年中行事として、毎年、子ども達は七夕祭りを楽しんでいます。今年も各クラスのお部屋には、願い事が書かれた短冊が飾られ、7月7日を迎える準備が着々と進んでいます。5日には、七夕発表会と称して、クラスごとに、みんなの前で発表をします。ヒヨコ組はダンスとリズム遊び、バンビ組はダンスと歌、パンダ組は「桃太郎」の劇を発表します。園庭で行う予定なので、晴れてくれるといいのですが…
七夕祭りといえば、仙台の七夕祭りが有名ですが、今年は、全国からの復興支援に対する感謝の気持ちを込めて、「願い、希望、感謝」をテーマにして開催するそうです。全国から願い事を募集しているので、私も送ってみました。インターネットで簡単に送れるので、皆様もお試しあれ!

No111.平成24年6月号 「天国へ逝ったアリス」

うさぎのアリスが保育園にやってきてから、かれこれ5年が経ちますが、先日、5月22日に急死してしまいました。前日、いつものように大きなうさぎ小屋で子ども達にたんぽぽのえさをもらってムシャムシャ食べて元気にしていましたが、その夜、ジーッと動かず、元気がありませんでした。翌日、病院に診せようと思っていましたが、朝を待たず亡くなってしまいました。
アリスは、今まで多くの子ども達を慰めてくれました。入園したばかりの子も、ママと別れられずに泣く子も、アリスを見せてあげたり、エサを一緒にあげたりすると、泣き止み、笑顔になって機嫌が直ります。アリスの魔法です。小動物達は、人間の大人にはできない、子どもを癒す、不思議な力があると感じます。言葉をうまく使えない子ども達は、小動物達とより近い存在なのでしょう。ダンゴ虫やハエや蚊でさえも、子ども達を元気にしてくれます。
今は、アリスの代わりに、金魚が水槽の中から子ども達を見守ってくれています。この金魚も、アリスと同様、近所の斉藤さんが持ってきてくれたものです。
生きとし生けるもの、終わる時はあることを子ども達もいつか知らねばならない時が来ます。アリスは天国へ逝った後も、子ども達に大切なことを教えてくれることでしょう。

No110.平成24年5月号 「赤いカーネーションと黄色いバラ」

5月の第2日曜は母の日。保育園ではどのクラスもプレゼント作りに勤しんでいるところです。母の日の花といえば、赤いカーネーションですが、十字架に架けられたキリストを見送った聖母マリアが落とした涙から生じた花だと言われており、“母と子”や“母性愛“を象徴しているとのこと。
それでは、父の日の花といえば、何の花かご存知ですか。本来は白いバラの花でしたが、日本では黄色いバラが定着しました。幸せを呼ぶ色として、家庭のイベントには、ふさわしい色です。ママ、パパ、どうぞお子様からの手作りプレゼントをお楽しみにお待ちください。

No109.平成24年4月号 「百名山踏破を目指せ」

卒園式を真近に控えた3月11日、きしくも東日本大震災と同じ日に、卒園児10名と保護者、職員を含め総勢34名で筑波山山頂を目指す登山に挑みました。
日本百名山の中で標高が一番低い877米の1000米に満たない山ですが、「西の富士、東の筑波」と称される名峰で、今話題のスカイツリーからも、その双耳峰の美しい姿が見られるということです。前日降った雪で、滅多に見られない雪化粧の筑波はとても美しかったのですが、滑りやすいので足場が悪く大変でした。しかし、誰も脱落者なく、全員が登頂に成功しました。大満足感を抱き下山する時の気分は爽快です。目指す山頂に向かって、一歩一歩登る過程は楽ではありませんが、苦しければ苦しい程、喜びは大きいものです。
登山のごとく、「目標に向かって努力する」という試練は、卒園後の子ども達の行く先には数知れず待ち受けています。卒園の門出に体験した筑波山登頂を事始めとして、百名山ならぬ百の目標に向かって臆することなく挑戦して百の頂上を極めてくれることを祈っています。

No108.平成24年3月号 「思いやりの心育成プロジェクト」

東日本大震災からもうすぐ一年が経とうとしています。この一年間被災地応援のボランティア活動を日本中の人々が様々な形で行ってきました。彩の国保育園の子ども達も、微力ではありますが、パンダ組J君のお母様のお勧めにより、「思いやりの心育成プロジェクト」に参加することができました。石塚観光が茨城県社会福祉協議会の協力のもと、「ボランティアバス」の運行を震災直後から行っていることは皆様もご存じのことと思いますが、その活動の一環として、がれきを詰める土のう袋に子ども達が絵を描き、被災地の皆さんを応援すると共に、子ども達に思いやりの心を育てるというねらいをもったボランティア活動です。昨年暮れに絵を描きましたが、その土のう袋がきっと活躍してくれたことでしょう。石塚観光のホームページでこのプロジェクトの概要を知ることができます。彩の国保育園の名前も掲載されておりますので、是非ご覧ください。被災地の人々の為に何かしたいと思っていてもその機会に恵まれない方も多いことと思いますが、このプロジェクトの他にも素晴らしいプロジェクトがありますので、石塚観光のホームページをのぞいてみてください。

No107.平成24年2月号 「餅に力あり」

「ぺったんこ、それぺったんこ、お餅をつきましょ、ぺったんこ」と大きな歌声に合わせて、保育園の園庭に勢揃いした子ども達は、昨日、元気にお餅つきを楽しみました。杵の重さより軽く小さいヒヨコ組の子ども達も先生に支えられて、お餅つきを体験しました。臼の中を覗き込んで興味津々のK君を始め、愛らしく可愛い姿をお兄さんお姉さんの前で披露してくれました。自分達でついたお餅を戸外で食べるというのは、子ども達にとって大人が思っている以上に楽しいようで、みんなおかわりをしてきなこ餅や餅入りのけんちん汁をたらふく食べました。年長さんはつきたてのお餅をちぎってきなこにまぶすお手伝いをしましたが、「熱い~!!」「大きすぎる~!」などと言いながら、賑やかなこと賑やかなこと、餅の感触で楽しさ倍増。ついて、触って、食べて、もちもちの餅は子どもに元気を与えてくれました。
そういえば、民俗学の父、柳田国男が「餅に力ありという信仰は日本人の起源をとくカギである。」と言っています。餅は日本の歴史の中で、特別な「ハレの食物」と考えられており、神への供え物でもありましたが、年々日本古来の行事はすたれ、餅の消費量も年々減少し、若い世代では年間500円ほどの支出だそうです。「餅に力あり」とすれば、最近の日本人が元気がないのは、餅を食べないからでしょうか?
柳田国男が「雪国の春」で、東北は日本の穀倉として稲作文化を牽引したと書いていますが、稲作文化が「東北復興」の原動力であるならば、餅や米をたくさん食べて、少しでも役に立てばと思います。

No106.平成24年1月号 「サンタクロースからのプレゼント」

Xマスが近づくと、子どもへのサンタさんからのプレゼントを何にしようかと頭を悩ますものです。子どもの喜ぶ顔が見たくて探りを入れますが、聞くたびに欲しい物が変わって、困っている親御さんも多いことでしょう。ところで、放射能汚染で、外で遊べない子ども達に素敵なXマスプレゼントを贈ろうと多くの大人たちが準備を進めてきました。菊池信太郎医師を中心に建設された「郡山市元気な遊びのひろば」が12月23日にオープンされます。
「郡山市の現状は現在でも外遊び、屋外での運動が十分にできない状態です。子ども達の様子を観察しますと、体の面では、筋肉の強張り、肩こり、頭痛、元気がない、体力が落ちた、感染症などによる抵抗力の減退、そして怪我の種類の変化などが見られます。子ども達にとって外遊びや戸外での運動ができないことがどういった弊害を起こすかというと、子ども達は体を動かすことが仕事なので、それができない分体力が低下したり運動神経が発達しなかったり、または子どものストレスに対応できない保護者がご自身のストレスを増加させてしまいます。また、子ども同士が遊んだり、学んだりする社会性の学習機会が減少したり、子ども同士、大人同士のコミュニケーションが減ってしまいます。こういった状況を危惧して、子ども達が安心して遊べる屋内遊び場が是非必要だと感じました。」と、菊池医師は、設立の必要性を述べています。この内容を読んで気が付くことは、原発事故がなくても、このような子どもを取り巻く環境は除々に進行していたのではないかということです。外で遊ばない子どもが、外で遊べない子どもになって、更に状況が悪化したと捉えるなら、「災い転じて福となす」の古くからの日本のことわざに宿る日本人の精神を発揮して、子ども達を取り巻く環境を、子育てのあり方を根本から見直して再生の道を歩むべきではないでしょうか。原子力発電所の是非を一から問い直さなければならないように。
菊池医師のような立派な贈り物はできないまでも、クリスマスプレゼントに子どもに何を選ぶかを考えることで、震災の年を締めくくり、新たな年を新たな気持ちで迎えたいものです。

No105.平成23年12月号 「クリスマスコンサート」

今年も残すところ1ヶ月余りとなり、2011年もあと少しで終わろうとしています。早いもので東日本大震災から、早8ヶ月が経過し、まだまだ復興の道のりは長く険しく、日本の行く末は定まりませんが、幸いにも、保育園の子ども達は元気に、例年と変わらない保育行事を行うことができました。毎年年末には、1年間の行事を振り返り、子ども達の成長を確認するのですが、震災にもめげず、今年も行事を一つひとつ経験する度に大きくなっていると実感できます。12月に音楽会を控え、パンダ組は毎日練習に励んでいる真っ最中です。今年は初めてオペレッタに挑戦します。演目は「不思議の国のアリス」ですが、昨年ジョニー・ディップ出演の映画が公開されるなど、今から100年も前に書かれたお話ですが、世界中で愛され続けている名作です。身近な小動物や空想の動物、奇妙な人物や出来事、奇想天外なストーリーなど、道理や理屈のない子どもの頭の中のような不思議な世界を、子ども達と音楽家の方々とのコラボレーションでどのように表現されるのか、どうぞお楽しみに!また、12月にふさわしいおなじみのクリスマスソングもプロの音楽家の方々によりお届け致します。子ども達の成長を喜び、親子で過ごす楽しいひとときは、どんなプレゼントより素晴らしい贈り物となるでしょう。目に見えない親子の、そして家族の絆が、また一つ深まるのですから…

No104.平成23年11月号 「七五三」

子供の七五三祝いをやる時に、誰しも自分自身の七五三の記憶を思い起こすものです。数少ない子供の頃の記憶の中で、晴れ着を着せてもらって嬉しかった気持ちは、幾つになっても忘れられないものです。昔は子の生存率が低く、節目ごとに成長祈願をしたのが七五三の起源ですが、今も昔も子の健やかな成長を願う親の気持ちに変わりはありません。初めて人の親になり子育てに翻弄しながらも、代々受け継がれてきたしきたりや行事を経験するうちに、子と共に親自身も成長していくことができます。その中で自分が受けた親の愛に気付かされる事も多々あることでしょう。薄れていく伝統行事ですが、人としての生き方の教えが、その中に伝授されているように思えます。震災で全てをなくした人々が、瓦礫の中から見つけ出して生きがいとなるのが、位牌と家族写真だと聞きました。目に見えないものが大事なものだという教訓を学んだ私達が、震災後の七五三を迎えて思うことは、子供の成長祈願は、家族の絆を深める行事でもあるということです。記念の家族写真に写された家族の眼差しは、明るい未来を望み見ていることでしょう。
 

No103.平成23年10月号 「運動会によせて」

運動会に向けて園庭整備の為、駐車場に置いてあった砂を園庭に運び入れたところ、さっそく子ども達は砂の山に群がって遊び始めました。今更ながら、砂(土)は子どもの遊びになくてはならないものだと感じました。山を作る、穴やトンネルを掘る、おだんごを作る、おままごとをするなど飽きることなく遊んでいます。震災後、放射能汚染で園庭や校庭で遊べなかった子ども達は、さぞかしつまらなかったことでしょう。砂や土に限らず、海、空、風、森などの自然によって、子どもは育まれます。今回の地震や大津波のように災いをもたらすのも自然ですが、それをも含めて大自然の中で人間は生きていることを教えていく必要性を強く感じます。自然に対する畏敬の念は、災いを転じて恩恵を私達に与えてくれるはずです。津波を被った田畑はいずれ実り多き田畑に生まれ変わるでしょう。しかし放射能汚染した田畑は孫子の代まで毒を吐き続け、不毛の地と化すことでしょう。園の畑を耕しながら考えることは、代々この畑は誰が耕し何を作っていたのだろうかと、祖先のこと、代々受け継がれるもののことなど哲学的思考をしながら、農耕民族のDNAを感じ、代々守ってきた田畑を耕せない農家の人たちの無念に思いを馳せます。
10月2日、子ども達は大地を踏みしめて元気に走ります。子ども達を空から見守る、KING OF NATURE=おひさまが顔を出してくれるといいですね。お父さん、お母さん、応援宜しくお願いします!

No102.平成23年9月号 「登山と震災」

毎年夏に一山登ることを目標にしていますが、今年は北海道大雪山の縦走に挑戦しました。登山愛好家が一度は登りたいトムラウシ山が縦走3日目に組み込まれた山行スケジュールでした。本州のアルプスの山々とは異なり、標高は1千米程低い2千米級の山々ですが、広大な北海道ならではの雄大でワイルドな山登りでした。一言で言うなら、神が創造したそのままの大地にポツンと降ろされ、一本の道筋だけひかれたコースを自力でゴールを目指すサバイバルゲームとでも言った感じです。1日目8時間、2日目10時間、3日目14時間の歩行時間で、体力、気力共生まれて初めての最大出力でした。水道、電気、ガスのライフラインは何も無く、渇いた喉を潤すジュースを売っている自動販売機があればいいのにと何度思ったことか。手つかずの自然を味わうとは、非日常の世界に入り込むと言うことで、文明社会に慣れきった人間には時に生命の危機さえ感じると言っても大袈裟ではありません。あって当たり前と思っていたことが簡単に覆されてしまった大震災後の状況に通ずるものがあり、人間の生存に必用なものが体で実感できたと同時に生命力の源が揺さぶられるような感覚に、再生と復興のエネルギーが宿るような気がしました。

No101.平成23年8月号 「子どもは汗の子、大人は冷房の子」

ヒトの体温は外気温の変化に対応して、体温を一定に保つ機能を持っていますが、その機能に不具合が生じると、体温が上昇すれば熱中症、低下すれば低体温症となり、生命が脅かされます。体温の上限は42℃、下限は35℃でその幅はたった7℃しかありません。体温計の目盛が温度計の目盛に比べて、極端に少ないのはそのせいです。これを逆に考えると温度計が-30℃~50℃まであると言うことは、健全な体温調節機能と環境に対する適切な対処があれば、生命を維持できるということでもあります。
年々過酷になる夏の猛暑の中、子ども達が元気に過ごせるように、健康な体と快適な生活環境を作ってあげることは、私達大人の仕事です。体を鍛えるためには、暑さ寒さを体験して、適応能力を高める必要があります。寒さに負けるなと言う意味の「子どもは風の子、大人は火の子」と言うことわざがありますが、暑さに負けるなと言う意味のことわざが無いので作ってみました。「子供は汗の子、大人は冷房の子」…
折から日本中節電の中、冷房ばかりに頼らない子どもの夏の過ごし方を、おじいちゃんおばあちゃんに聞いてみては如何でしょうか。きっとよい知恵を貸してくれることと思います。

No100.平成23年7月号 「百代の過客」

「太平洋の水湧きて/奥の浜辺を洗ひ去る。/あはれは親も子も死んで/屍も家も村も無し。」これは正岡子規が、明治29年の三陸海岸大津波の情景を描いた詩ですが、今回の東日本大震災と全く同じ光景が、100年余り前に起こっていたことに驚かされます。この詩の後に「人すがる屋根は浮巣のたぐひかな」という一句を明治の偉才は詠んでいますが、17文字の中に、見事に私達がテレビで見たと同じ光景が表現されています。大自然の驚異が繰り返される事実とその光景をリアルに伝えてくれるのは、文学の力と言えるでしょう。歴史上度々大自然の爪牙にさらされる東北地方ですが、平和な佇まいもまた、文学の中にひっそりとその姿を留めています。「月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也」という名文で始まる「奥の細道」で俳人松尾芭蕉は、今回の被災地、福島、宮城、岩手を行脚し、東北の美しさや歴史を俳句に収めています。松島では、その美しさに絶句し、「いづれの人か筆をふるひ詞を尽くさん」と、句を残さなかったと言います。それが、今から320年前のこと、今日まで誰も詞を尽くしていませんが、今回の震災で、その日が来るまでには「百代の過客」が行きかわなければならないことでしょう。
この保育雑感の100回として震災を取り上げたのは、被災地の早い復興を願ってはいますが、「百代」の「百」とは永遠という意味もあるように、それこそ百年単位で考えなければならないだろうと感じているからです。正岡子規は34歳の短い一生でしたが百代に名を残し、天変地異は百年単位で歴史上繰り返される。人生も歴史も時の長短は大きな意味をもたないとも言えます。今を生きる生も、過去を生きた生も、未来を生きる生も、全て悠久の時の流れの中ではその価値は等しいと感じる昨今です。

No99.平成23年6月号  「『共に生きる』を目指して」

新年度も早2ヶ月が経ち、園児達も先生やお友達に慣れ、徐々にクラスのまとまりが出てきています。今週予定されている春の親子遠足を皮切りに、今後は行事、各領域の保育内容を年間計画に基づいて、本格的に始動します。
今年度は、行事の時期と、特別保育(学研・英会話・スイミング)の内容の見直しを行いました。親子遠足は5月、運動会は10月、音楽会は12月に行い、学研幼児教室の充実を計りました。また、食育と基本的習慣に力を注ぎ、幼児期のいわゆる「しつけ」と言われる子育ての原点を大切にして保育を行いたいと思います。
また、彩の国保育園の子ども達の「年下の子を可愛がる」という長所も、クラス間の交流保育を取り入れて更に伸ばしていこうと思います。保護者の皆様のご協力、ご支援、ご鞭撻を宜しくお願い致します。

No98.平成23年5月号  「大震災に思う その2」

毎日のように起こる、大きな余震に不安な日々が続いていますが、小さいお子様を養育する保護者の皆様方には多くのご心配を抱えながらの子育ての日々と、お察し申し上げます。園においては、再度の大きな揺れに備えて落下防止の工夫をしたり、子どもの不安を募らせないように配慮して保育を行うようにしています。また、放射能に関しては、被曝量を少しでも控える目的で、戸外遊びの時間を決めて保育を行っています。出来る事は限られており、これで本当に良いのかと迷いながらの対応ですが、保護者の皆様方ともご相談しながら、防災対策を考えていきたいと思いますので、ご意見、ご要望、また情報などお聞かせください。先日、昨年の卒園児ご父兄よりお見舞いのメールを頂きましたが、その中に、「備えよ常に」というボーイスカウトのモットーの一文に、今回の震災の教訓を実感したとありました。子ども達の安全を守る為に、「備えよ常に」を心掛けましょう!

No97.平成23年4月号  「大震災に思う」

今回の大震災に身も震える恐怖を覚えましたが、その衝撃から日が経つにつれて、原発事故による放射能汚染の方が何倍も恐ろしいと気付き、今後引き起こされるであろう様々な事態に、不安が募る毎日です。原子爆弾で国土を焼かれ、大勢の命が犠牲になったこの国に、歴史は非情にもまた同じ苦しみをもたらそうと言うのでしょうか。私達大人が、幼子達に明るい未来を保証してあげられないことに、憤りと慙愧の念が耐えません。しかし、戦争であれ、自然災害であれ、人災であれ、その耐え難い苦しみを、今生きている命は受け止めるより道はありません。命には限りがあることを今回の大震災は私たちに教えてくれました。大震災で亡くなられた多くの方々の尊い命に代えて、残された者たちは泣きながら苦しみながらも前に進まなければならないのでしょう。日本頑張れ! お父さん、お母さん頑張れ!

No96.平成23年3月号  「読み聞かせ」

「読み聞かせ」の日は、月に2回ありますが、1回は大内さんが、もう1回は「桜前線お話の国」の生田先生と友部さんがやってくださいます。大内さんは、保育園の正門の隣で畑を作っている方で、近所にお住まいの方です。大内さんのご主人とは、お互い作った作物の交換をしたり、苗や種をもらったりあげたりする「畑友達」です。昨年の夏は、落花生の種をいただき、子ども達は植え付けから収穫、殻むきという長い活動過程楽しむことができました。「桜前線お話の国」は、色々な場所でボランティア活動で読み聞かせをしているグループで、音響効果を取り入れて読み聞かせをしてくれます。生田先生はリトミックの指導の傍ら児童福祉に力を注ぎ幅広く活動していらっしゃいます。友部さんは近所の商店の方で、子供文化に熱い情熱を抱き、長きに渡りボランティアに携わってこられた方です。この3人の方が口々に「彩の国保育園の子ども達は耳を傾けてお話を本当によく聞いてくれます。」とおっしゃいます。地域の方々のボランティア活動に支えられて子ども達が育まれている事を、この「読み聞かせ」を通じて実感しています。広く世界に目を向けると、ボランティアの力が社会の様々な問題の解決に役立っています。「人の役に立つ」というボランティアの精神は、世の中を良い方へ導く人間の叡智です。「人の役に立つ人になれ」と子ども達に教える為には、私達大人も頑張らなければなりませんね。

No95.平成23年2月号  「うさぎ」

平成23年が明けて、早1ヶ月、保育園も年長さんの卒園のムードが日増しに高まって来たこの頃です。今年の干支は兎ですが、ぴよんぴょん跳ねる兎にあやかって元気な年にしたいものです。そこで、兎の話をしましょう。保育園で飼っている兎の名前は「アリス」と言いますが、4年前に近所の斉藤さんが持ってきてくれた時に、当時の学童さんが、「不思議の国のアリス」から名付けました。ライオンラビットという種類でフワフワのたてがみと、おとなしい性格で人気の高い兎です。最近はペットに兎を飼うのが流行っているそうで、リードをつけてお散歩させることを、「うさんぽ」と言うそうです。保育園でも、「うさんぽ」を試みましたが、犬のようには歩いてくれず、そのうちリードを噛み切ってしまいあえなく断念。穴を掘って脱走することも数知れず、子ども達の手に負えない兎ですが、癒し効果は抜群。餌をあげたり、なでたりすると皆ニコニコ笑顔になります。兎年なので、新しいお家を作ってあげようと思っています。話はそれますが、初詣に日光東照宮に行きましたが、絵馬に描かれていた兎が「波乗り兎」といって、荒波を乗り越える兎の様に、苦難を乗り越え前進出来るようにという縁起物だそうです。東照宮の彫り物に幾つもあるとのこと、眠り猫、猿は有名ですが、兎もいたなんて…波乗り兎にあやかって、大波小波乗り越えて頑張りましょう!

No94.平成23年1月号  「クリスマス会~星のように輝いて~」

バンビ組に一同勢揃いして、今年最後の締めくくりの行事を行いました。各クラスの発表や手品を見て楽しく過ごしましたが、写真のレンズを覗くと、子ども達一人ひとりの成長が写し出されていました。背が伸びた、体が大きくなった、という身体的成長ばかりでなく、静かに座ってお話が聞けたり、誕生会やクリスマス会の意味を理解して、みんなで楽しく過ごすことができたり、照れたり恥ずかしがったりしないで発表したりなど、どの子の姿にも精神的成長を感じました。また、一人ひとりの成長ばかりではなく、クラスとしての成長も大いにみられました。音楽会、運動会を経て、集団としての課題や目標に向かって、練習し努力を重ねた結果、クラスが一つにまとまり、今日の生き生きとして息が合った合奏の発表ができるようになったのだと思います。集団の中で、それぞれが自分の役割を自覚し、自信を持って行動できる子ども達の姿は、まるで、クリスマスツリーを飾る、キラキラ光って輝いている星のようでした。

No93.平成22年12月号  「演じる楽しさパート2」

晴天に恵まれ、暖かい日差しと大勢の保護者の方々の声援の下、園児達は、元気いっぱい運動会を楽しみました。今年は、3クラス共ストーリーのある演技に取り組みました。物語の登場人物や動物の役になることで、子ども達はその気になっていきいきと演技することができます。物語の中で、大人は役を「演じる」のですが、子どもは役そのものになってしまうと言った方が当たっているかも知れません。ウサギの役をやったら、子どもはウサギを演じるのではなく、ウサギに変身しているのでしょう。みつばちハッチも白雪姫も、海賊も本物が出現していたのです。子どもの世界は次元が異なり、大人はなかなか入り込めませんが、名優といわれる人は、子どもの感性を持ち続けている人なのでしょう…今年の運動会では、先生達が新たな才能を開花させました。①脚本(『PIRATES OF PANDA』はパンダ組担任の創作)②演出(みつばちッハッチのお散歩)③演技(白雪姫の魔女)この3つが揃えば、劇団を開設することもできるかな…!?

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