保育雑感

No.272令和7年11月号「地域合同避難訓練-来るべく自然災害に備えるー」

今年の夏は暑かった!そして、長かった!待ちになった秋は訪れず冬の寒さが急にやって来た。いよいよ異常気象が私たちの身近に迫り現実味を帯びてきたようだ。また、最近頻繁に地震も起きているので、南海トラフ巨大地震が向こう30年のうちには必ず起こるような気もしてきた。
このような時代背景を受けて、監督官庁も、保育園での避難訓練を地域ぐるみの取り組みにすることを推奨している。彩の国保育園では、昨年度より、地域住民の方にも参加して避難訓練を行なっている。今年は水戸市防災・危機管理課と笠原市民センター及び自治会の協力をお願いしたことで、内容が充実し、防災の意識が飛躍的に高まった。避難所で使用する段ボールトイレや段ボールベッドの実物の展示、煙体験コーナー、地震の揺れ体験コーナー、避難バック&新聞紙スリッパ体験コーナーなどでリアルな体験をすることで、災害や防災・避難を身体で実感することが出来た。何よりも保育園だけの行事を地域の人たちと行ったことで、防災の「共助」の精神の大切さの一旦に触れることが出来たと思う。
 今後予想される自然災害に備えるために、周りの人々とのパイプを広げて行く必要性を感じた。今回関係機関との連携の他に、「地域防災リーダーズ協会」の代表の丸山さんにも、協力してもらった。消防士の経験や防災のプロとしての知識に基ずくアドバイスに、目の鱗が落ちた。私たち保育士ももっと防災の知識を学んで、災害に直面した時に子どもたちの命を守れる知識と技術も身に付けたいと強く思わせられた。
まずは、1,「人とのつながり」と「弱者への思いやり」を防災教育の基本とすること 2,保育士も防災士の資格をとることを目標として、今後の訓練をもっともっと充実させていきたい。
 
子どもたちも外部の方々の訪問に、いつもと違う雰囲気を感じていたようでお話をよく聞いていた。防災・危機管理課の方が「今日の避難訓練はどうでしたか?」の質問にみんな「たのしかった~!」と大きな声で明るくこたえていました。大人たち一同大笑い😂(「子どもの学びはすべて遊びから」・・・ですものね)

 

No.271令和7年10月号「見守る保育-成果と課題」

クラスごとに決められた活動をする一斉保育から、子どもの興味関心のあるあそびを自分で選択することができる見守り保育になって約6カ月が経ちます。その成果が徐々に見られるようになってきました。子どもの自発性を尊重することで、子どもたちが生き生きと遊び、保育室は活気と熱気に満ちています。子どもたちの表情は明るく、言動も穏やかになったように感じます。自分の好きなあそびなので、子どもは夢中で飽きることなく遊んでいます。何日も継続して遊ぶうちにだんだん遊びが深まり発展進化していきます。例えば、A君は、新幹線が大好きで、毎日牛乳パックで新幹線を作っていますが、だんだん本物らしくなってきました。逆に、見守り保育のマイナス面にも目を向ける必要があります。指示を必要とするお子さんもおりますので、その子に応じた対応を心がけています。一方、見守り保育は、子ども同士の関りも大切にしますが、その成果も見られるようになってきました。一例をあげると、2歳児が包丁で野菜を切っているのを見た1歳児が、おままごとというと包丁を持ち出して野菜を切ることを覚えました。保育士たちもこの間、園内研修や先進園の見守り保育を見学に行くなど、研鑽を重ねてきました。他の保育園を参考にしてコーナー遊びを改善したり、子どもとの関わり方を見直したりより良い見守り保育の探求に余念がありません。これからの課題も見えてきました。1.彩の国保育園の特性に相応しい見守り保育とは2.自然に触れながら遊び、学び、成長できる園庭作りの2点です。
今後、各クラスで保育参観が予定されています。お子様と一緒に、見守り保育を体験してお楽しみ頂くと同時に、ご意見ご要望等ありましたらお寄せください。
 

No.270令和7年9月号「QRコードの魅力」

最近私たちの身の回りのあらゆる場所で見かけるQRコード。商品にチラシにテレビにJRの電車ドアーにあらゆる場所で正方形の白黒マークが氾濫している。囲碁の碁盤や篆刻を連想させる形と模様は日本人の心を惹きつける。それもそのはずQRコードは日本人の発明だ。デザイン性、機能性、利便性あらゆる性能を詰め込んだQRコードは見るほど知るほどに興味が湧く。携帯のQRコードリーダーで読み取ると「ピッ」という音と同時に様々な情報を即座に提供してくれるお助けマン的存在。いとおしく可愛い。私のQRコード愛がこれほど高まったのは、実は、NHKの「新プロジェクトX」で、QRコードを発明した日本人技術者たちの汗と涙の物語を知ったからだ。開発のきっかけは、バーコードの情報量の少なさによる作業効率の悪さを何とかして欲しいという自動車製造現場からの声に応えたいという技術者たちの熱い思いから始まった。今や情報社会を支えるインフラに成長したQRコードだか、その功績もさることながら、人生を掛けた開発者たちの情熱がすごい!NHKプラスで、8/30(土)午後8:54まで配信しているので、関心のある方は必見!
 今回マルシェ開催を機に、彩の国保育園でも、QPコードを作りました。その模様をよく見ると、どのQRコードにも必ずある形が入っています。切り出しシンボルと言われる▣が角には必ず3つあります。その他の形も探してみて下さい。愛着が湧きますよ。ところで、彩の国のQRコードを作るきっかけは、昨年のマルシェの実行委員会の反省会の中で、公式アカウントをQRコードで作ってみてはと保護者の
方から提案がありました。そのような経緯で、今年のマルシェ開催情報を入れた彩
の国のQRコードが作られた訳です。今後も、皆様方の知りたい情報を増やし、
バージョンアップしていきたいと思います。保護者の皆様からのご意見やアイデア
もお寄せいただき、面白くて便利なツールにしていきたいものですね。
                        彩の国公式LINEはこちら!
                           

       


 

No.269令和7年8月号「戦後80年、ひとふんばり」

彩の国の子どもたちに長年にわたり絵本の読み聞かせをして下さっている近隣のボランティアの方がお二人いらっしゃいます。お一人は今年87歳になられる大内節子さん、もうお一方は今年84歳になられる大久保圭子さんです。毎年8月には、戦争にまつわる絵本や紙芝居を読んで下さるのが、恒例となっています。今年も日本にとって特別な月8月がもうすぐやってきます。今年は戦後80年という節目の年でもあり、また、昨年、被団協がノーベル平和賞を受賞し、世界中から日本の戦争体験者の平和運動に対する評価が高まっている時でもあります。この機運の高まりを受けて、今年の8月のおはなし会は、ボランティアと保育園とのコラボおはなし会を行うことになりました。戦争体験者である大内さんと大久保さんにご自身の戦争体験を語っていただくことで、子どもたちに少しでも戦争の怖さや悲惨さが伝わってくれればと思っています。お二人の体験談のなかには、「疎開」「防空壕」「防空頭巾」など聞いたことのない言葉が出てきます。食べる物が何もなく野原に生えている草を採って食べたというお話も語られます。大内さん6歳、大久保さん3歳のときの体験談を同い年の子どもたちはどんな思いで聞くでしょうか。戦争体験者の平均年齢が86歳を超えている現在、生の声を聞くことができる最後のチャンスです。受賞の第一報を受けた時、涙を流し頬をつねるリアクションとともに「夢の夢。うそみたいだ」と語った箕牧智之代表委員も今年で83歳です。彼がこう語っています。「これからまたひとふんばりしていかないといけない。被爆90年の時にもう私たちはいないと思っているので、今年は80年で節目の年だろうと思う。核兵器のない戦争のない世界を訴え続けていかなくてはいけない」と。
現在日本を訪れているノルウェーノーベル委員会のクリドネス委員長は、戦争を体験していない若い世代も音楽、文学、漫画を通じて、被爆体験を継承している事例に触れ「若い世代の創造性に大きな感銘を受けた」と語っています。
戦争体験者の「ひとふんばり」を受け継いで、若い世代も「ひとふんばり」しなければなりませんね!
 

No.268令和7年7月号「戦後80年の長崎を歩いて」

日本被団協がノーベル平和賞を受賞してから1年もたたないのに、世界では戦争の火の手が収まるどころか益々広がっている現状に、戦後80年を迎える8月15日が近づいている日本で、その日をどう迎えるか逡巡する日々のなか、長崎の平和祈念像の前の平和祈念式典の情景が浮かび、長崎行きを決めた。
初めて長崎の街を訪れて最初に出会ったのは、街頭で平和に関するアンケート調査をする中学2年生だった。長崎では、中学2年生になると、平和を考える授業の一環としてこのような活動をすると引率教師が語ってくれた。広島と同様長崎においても、平和教育が生活の中に根付いている印象をうけた。
路面電車に乗り原爆資料館に行き、展示をじっくり見て回ったが、広島の原爆資料館と同じ焼け野原の惨禍が目に焼きついたが、さらに、投下された原子爆弾の実物大模型や実際に爆撃機に搭載される映像が、原爆の恐怖を募らせた。溜息とともに原爆資料館を出て、平和公園を歩くこと10分ほど、雄大な平和記念像が遠くに姿を現した。平和記念像の前の広場に平和祈念式典に参列する人々の映像が重なり、8月9日の80周年記念式典に参列したいという願いが叶ったように思えた。
平和記念像は北村西望の手になるもの。像の裏側に刻まれた作者自身の碑文の一節に「右手は原爆を示し左手は平和を顔は戦争犠牲者の冥福を祈る 是人種を超越した人間 時に佛時に神」とある。
西村は、平和について「人類の希望し尚且人力を以って未だ成らず」

と語っているが、平和を人間を超えた存在によって実現しようと
「超人間的なもの=エクストラヒューマン」の
平和記念像をデザインしたのだろう。
雄大荘厳なこの像に癒しと希望をもらった旅だった。

 

No.266令和7年6月号「子どもも大人も楽しめる絵本の世界 」

5月の読み聞かせの会に読み手として保護者の方が初めて登場しました。年長さんのお母さんが二人紙芝居を持って姿を現すと、サプライズに会場は大喜び。ニコニコ笑顔が満開の楽しいひと時でした。彩の国保育園では、地域ボランティアに支えらせて、「読み聞かせ」を長年にわたり続けてきました。小さい頃から絵本や紙芝居に親しむことで、みんな絵本が大好きになります。「こんなによく聞いてくれる子ども達は、他にはいませんよ。」とボランティアの方は褒めてくださいます。これからは、ボランティア+保護者のダブルパワーで、益々絵本が好きになる事でしょう。
 彩の国保育園における絵本を保育に取り入れる試みは、「読み聞かせ」以外にも色々あります。彩の国図書館の貸し出し、月間絵本購読、古本市など色々なイベント企画などなど。感性、創造性を培ったり、思いやりや共感の気持ちを育んだり、道徳観・倫理観を醸成するなど情操教育にとって欠かせないのが絵本です。
 子どもにとって絵本は、なくてはならないものですが、私たち大人にとっても絵本は他の書物に引けを取らない読み応えのある書物と言えます。最近読んだグリム童話「ブレーメンの音楽隊」の読後感を披露します。年をとって役に立たなくなったロバ、イヌ、ネコ、ニワトリが家を追われますが、4匹で知恵を出し合って泥棒をやっつけ一緒に仲良く暮らすというお話です。経験豊富な年寄りの知恵を出し合い、自分たちで逆境を乗り越えることができたのだから老いることを卑下せず社会に役立つ存在であると自信をもって生きなさいというメッセージが込められているのでは?もう一つ現代的解釈として動物愛護を提唱?絵本って面白くないですか⁈
 

No.266令和7年5月号「 彩の国保育園見守り保育の3原則 」

新年度が始まり約1ケ月、子ども達も少しずつ見守り保育に慣れてきたように感じますが、保護者の皆様方は どのようなご感想を抱いておられますでしょうか。 昨年度一年間コーナー遊びを設置して色々と試行錯誤を重ねる一方、先進園の見学や動画を見たり、講師を呼 ぶ等研修を重ねて参りましたが、設定保育に慣れ親しんできた保育現場は、まだまだ新しい保育の実践方法に戸 惑いや解らないことが多くあり、それぞれが悪戦苦闘(?)しています。見守り保育が拠り所とする発達理論は 人間を人間たらしめるソーシャルスキルを司る社会脳は、子ども同士のヒューマンコンタクトがある環境(共同 社会)の中でしか発達しないという学説に基づいているので、今までの保育方法の見直しが必要となってきます。 私達保育者も頭を切り替えて、新しい保育方法を一から作っていかなければなりません。 そこで、見守り保育の保育方法として適切かどうかを検証するのに3つの視点を設けました。 1,子ども同士の関りを大切にしているか 2,子どもの興味・関心に沿っていて、しかも主体性を育む関わり方をしているか 3,保育士はラーニングパートナー=先生のようになりたいという憧れの存在になっているか 以上を彩の国保育園見守り保育の3原則として、新保育方法を確立していきたいと思います。見守り保育のめ ざす非認知能力=生きる力を子ども達につけてあげられるように、全職員の共通理解のもと足並みをそろえて取 り組んで参ります。現在の教育が抱えている様々な問題(社会性の欠如、自己中心主義、いじめ問題、不登校な どなど)の解決の糸口は幼児教育にあると言われているので、がんばります!ご支援、ご協力お願いします!!

令和7年度4月号「社会の変遷と保育形体の移り変わり」

 彩の国保育園において設立当初から実施している保育の形体は、設定保育(一斉保育)と呼ばれるものと異年齢保育(縦割り保育)という2つの保育形体です。設定保育とは、幼児教育において昔から行われている一般的な保育で、クラス単位・グループ単位で決められた保育内容を全員に一斉に行う形体です。一方、異年齢保育(縦割り保育)は、同年齢集団ではなく複数の異年齢児が、一つの集団として一緒に同じ遊びをする保育形体です。年上の子と年下の子が一緒に遊ぶと、思いやりや憧れの気持ちが芽生え、愛情や信頼など人間らしい豊かな感情が育まれる素晴らしい保育形体です。オープン保育という名前で、定期的に異年齢保育を実践してきました。遊びも何種類か用意して子ども達に選べるような配慮をしてきました。しかし、時代の変遷のなかで、子どもの人権尊重の意識が高まり、新しい保育形体の必要性に迫られ保育園の役割も大きく変わろうとしています。そこで、彩の国保育園では、昨年から、子どもの興味・関心を尊重して自主性を育む手段の一つとして、コーナーに子どもの興味ある遊び場を作り、一人ひとりが自分の好きなコーナーに行って遊べる自由保育を導入しました。自主性を伸ばすばかりでなく、異年齢の関りも活発になります。2年目となる今年は、出来るだけ設定保育を自由保育に移行し、子ども同士の学びを促進していく予定です。また、コーナー遊びも充実していきます。人間には乳児期からすでに集団から学ぶ力が備わっているという発達理論に基ずく見守り保育(藤森メソッド)も導入します。
今までにない大きな改革なので、一歩進んで二歩下がるような進捗状況になるかも知れませんが、保護者の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
 

「令和6年度を振り返って」

 生活発表会が終わると、保育園は一年間を振り返りその反省をもとに新年度の準備に入る時期となります。一 年間の集大成と位置付けている生活発表会をご覧になって、保護者の皆様はどんな感想を抱かれましたでしょう か。一年前のお子様の姿を思い出して、身体や心はどのくらい大きくなりましたか?3月に入りましたら「保護 者アンケート」用紙を配布しますので、一年間を振り返って頂きまして、保育や保育園に対して、評価していた だくと同時に、率直なご意見やご要望をお聞かせいただきたいと存じます。 「こども大綱」に基ずく保育行政の様々な新しい施策が発表になる中で、本年度は、彩の国保育園においても、 新しい保育園の在り方を模索しながら、新しい企画を実施して参りました。『子育て講座』(2回)、『地域合同避 難訓練』、『子育て応援バザー』(バザー委員企画)『サロン・ド・カフェ地域食堂』(6回)、『彩の国わくわくマル シェ』(保育園・保護者合同企画)を保護者支援や地域支援として開催しました。保育においては、【子どもまんな か保育】を目指して、自由保育を導入しました。保育士の働き方を改善しようと、事務的業務の見直しやノンコ ンタクトタイムで休憩時間の充実も図りました。
これらの新しい取り組みは、実施したからすぐ成果が目に見えるものではなく、時間と手直しが必要です。根 気よく継続して子ども達の成⾧に資するより良い環境をつくるために、保育に精進して参ります。どうぞ、皆様 の保護者パワーで、ご支援をお願い致します。

「彩の国わくわくマルシェ」

軒を並べるブースには、魅力的な品物がズラリと並び、訪れた人々を幸せな気持ちにさせるそんなマルシェ(市場)が保育園に出現したら・・・こんな夢を実現しようと、保護者と保育園がタックを組み、『彩の国わくわくマルシェ実行委員会」が始動しました。現在、3月1日(土)の開催に向けて着々と準備が進んでいます。
 彩の国保育園は今まで、地域交流と世代間交流に長年にわたり取り組んできましたが、更に交流を活発化させるために、マルシェを開催することに致しました。保育園の施設を地域に開放することにより様々な人々との出会いの機会が増え、協力したり助け合ったりすることで絆が深まり、ちいさなコミュニティーが生まれることを期待しています。一方、保護者の方々にとっては、どんなメリットがあるのか第一回実行委員会で話し合いました。①親の働く姿を子どもが見る機会になる。②保護者同士の交流が生まれる。③シニア世代との関わりが少ない子ども達にとって触れ合う機会になる。④大人も子供も社会奉仕の大切さを経験できる機会に恵まれる。等など色々な意見が出ました。 こどもたちが保育園の外の世界とつながるり、多彩多様な人々と交流を深め、様々な体験ができる機会を設けることで、「豊かな人間性」を育んでほしいという親と保育士の願いを込めた『彩の国わくわくマルシェ』をみんなの力で成功させましょう! 出店者、イベント実演者募集継続中です。委員になりたい方も大歓迎です。ドシドシお申し込みください。お待ちしています😊

「ノーベル平和賞授賞式パブリックビューイングに参加して」

初めて広島に行った。原爆資料館や原爆ドームをこの目で初めて見た。広島の街を徒歩で、市電で、タクシー で見て回った。原子爆弾で焼け野原になった戦争の痕跡と、核なき世界をけん引する平和都市広島の現在の街並 みが混在しており、戦争と平和をこれほど身近に感じる感覚を覚えたのは、後にも先にも初めての経験だった。 広島の人々にとって、79年前の出来事は、歴史的出来事ではなく、祖父母や父母が体験した昨日のこととして実 生活のなかで進行している生活の一部だと知った。広島では、8月6日は登校日で、8時15分には黙とうを捧げ ると聞いた。子どものころから戦争と平和の教育が施され、ローカルニュースでは毎日のように、どこどこで、 〇〇大会や△△集会が行われたとニュースが流れるそうだ。 12月10日、オスロのノーベル平和賞授賞式に合わせて原爆資料館で開催されたパブリックビューイングに参 加した。大人ばかり100人の中に子どもが2人だけ参加していた。報道記者の目を引いたのか3社ほど取材を申 し込んでいた。地元紙の女性記者が、「地元に帰ったら、何かしたいと思いますか?」と聞くと、中学一年生の女 子生徒は「自分の命を守ろうと思います。また、自分の周りの大切な人の命も守ろうと思います。」と答えてい た。被爆者代表の切明千枝子さん(95歳)は、「自分の命や自分の周りの親族や友達の命を守る事が平和につなが ります。」という話をした。また、田中煕己代表委員の受賞演説中の「核兵器の非人道性を感性で受け止めること のできるような原爆体験の証言の場を各国で開いてください。」の話に通ずるものだ。⾧年反戦運動を続けてき た人の言葉は、人の心を動かし平和の尊さに気づかせてくれるものと確信した。

No261令和6年12月号「たのしかったね、あやのくにまつり」

例年夏に行なっていた「夏祭り」でしたが、異常気象による猛暑を避けるため、今年度は、「あやのくにまつり」と行事名も変更して、初めて秋に開催しました。11/13(水)は、小春日和の暖かい天気に恵まれました。年齢別に3つのグループに分けて時間差で開催しましたが、どのグループも、和気藹々の雰囲気の中、笑顔や歓声がはじける楽しいお祭りとなりました。
園庭のステージはいつも大勢の人が集まり大盛況でした。マイクを持ってステージに立った子供たちは、ファンに囲まれて拍手や声援をうけるアイドル気分を味わいながら、歌って踊って大ハッスル!未満児さんは緊張してみんな棒立ちでしたが、笑いと拍手に包まれて満足感を味わったことでしょう。先生たちの押し活芸(?)も飛び出し、その迫力に圧倒される場面もありました⁈。
室内のゲームコーナーでは、ブレードやモンスターパニックにはまってしまい、外には一歩も出ないで、室内でずーっとゲーム三昧の子もいたようです。今年の年長さんは、月一度のブレードトーナメント大会を開催していて、そこらにある物を何でもかんでも回してしまいます。ぶつかっても壊れず長い時間回っていられるか試行錯誤しながら遊んでいます。 
その他パン・ジュース販売、古本市、子育て応援バザーはいかがだったでしょうか?バザーは、初めての企画で、「彩の国バザーママ」8人による自主運営です。ネットで調べながら、バザー品の選定・価格付け・当日の会場設定・販売・売上集計まで全てを取り仕切ってくれました。バザー委員の皆様の労をねぎらうと同時に、敬意と感謝の念を送ります。一同に会して踊った「輪になって踊ろう」は、楽しかった「あやのくにまつり」を締め括るのにふさわしいラストシーンとして皆さんの心に残る事でしょう。皆様のご協力に感謝申し上げます‼
 

No260令和6年11月号「夢の夢。うそみたいだ」

ノーベル平和賞を受賞した日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の箕牧智之代表委員が、受賞の第一報を受けた時、涙を流し頬をつねるリアクションとともに発した言葉は「夢の夢。うそみたいだ」でした。「no more Hirosima  no more Nagasaki  no mor war  no more Hibakusya」をスローガンに68年間にわたり世界に核兵器廃絶を訴える活動をつづけて来たにもかかわらず、現状はロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのパレスチナ攻撃により第三次世界対戦が勃発する危険性が日増しに高まり、核兵器使用をちらつかせる強権独裁国家に世界の平和を脅かされる現在の危機的世界情勢は、核廃絶活動を継続してきた被団協の人々にとっては、ノーベル平和賞受賞のニュースは、にわかには信じられない「本当に、うそみたい」な出来事だったのでしょう。
ノーベル平和賞受賞をうけて、様々な立場の関係者が以下のような談話を発表しました。
「必要なのは武力なのではなく対話」「被団協の役割今後非常に重要」「広島市としても一緒になって取り組んでいきたい」「国際的な流れにノーベル財団がくぎを刺した」「世界が大きく舵を切る契機となること期待」「核兵器廃絶に向けた行動が広がることを期待」「多くの人たちに希望をもたらす」「受賞は世界への強烈なメッセージ」 「若い世代とともに継承進めたい」等々。
受賞の意味や意義や展望が熱く語られている談話を聞いて、唯一の被爆国日本の一国民として、ノーベル平和賞の受賞に恥じない生き方をしなければならないし、核廃絶を夢に終わらせてはならないと強く思います。新たな被爆者が生まれないようにバトンを受け取るのは、私達の世代です。新しい戦争被害者が後を絶たない今この時戦争で命を奪われた人々の反戦の声に耳を傾けるのは、私達世代の役目です。今、世界中の人々が口にする一編の詩を皆様にご紹介します。ガザの詩人レファアト・アラリール『If I must die,let it be a tale』(もし、私が死ななければならないなら) ネットで検索して読んでみて下さい。
 

No259令和6年10月号「祖父母パワー」

「祖父母パワー」
「敬老の日」は9月の第三月曜日ですが、以前は9月15日でした。ハッピーマンデー制度により、2003年に変更されたので、すでに20年以上たちますが、日にちでインプットされているせいか、未だに第3月曜日と言われてもピンとこない方も多いのではないでしょうか。ところで、「敬老の日」の起源は意外に知られておらず、戦後間もない昭和22年9月15日に、兵庫県多可町で始められたそうです。当時は「としよりの日」といい55歳以上の人が対象だったとか。人生100年時代の現在なら55歳は年寄りではなくさしずめ中年でしょうね((笑)
時代や日にちは変わっても、保育園では、「敬老の日」にちなんだ保育を各クラスともそれぞれ取り入れています。9月18日には、年長さんのたいよう組に、祖父母の皆様に集まっていただき、お孫さんと一緒に音楽に合わせて体を動かしてもらったり、ぶんぶんゴマを作成したりしました。一人ひとり、作品を紹介がてら前に出て、ぶんぶん言わせながら、コマ回しを披露しました。お孫さんの保育園での様子や成長した姿におじいちゃんおばあちゃんも相好を崩しておられました。祖父母と同居していない核家族がほとんどでしょうから、子ども達は他世代との関りが減少し、経験豊かなシニアに様々な知恵を教わる経験がほとんどないのが実情でしょう。保育園で一緒に遊ぶ経験は子どもにとっては貴重な成長の糧となるに違いありません。「祖父母パワー」を発揮して、子供の成長を後押ししてもらえる機会をどんどん増やしていきたいものです。
地域コミュニティー作りを目指して、「サロン・ド・カフェAYANOKUNI」地域食堂を開催しています。お孫さんと一緒に参加してはいかがでしょうか。保護者の皆様からもご両親に勧めてみてください。保護者の皆様のご参加も、もちろん大歓迎です。
 

No258令和6年9月号「戦後79年目の夏」

「戦後79年目の夏」
地域ボランティアの方による戦争の読み聞かせの会が8/21(水)に行われました。彩の国保育園では、毎年8月には戦争と平和に関する紙芝居や絵本を読んでもらうことが恒例となっています。かれこれ、20年余り毎年継続してきましたが、その間世界の平和が実現されたことは一度もなく、世界各地で争いや戦争が絶えることなく勃発して多くの民間人や子供の命が奪われ続けている現状に心が痛みます。一年前に広島でG7サミットが開催された時は、核なき平和な世界を希求する広島の願いが世界中の人々に届く時が来るかもしれないと淡い期待を抱きましたが、平和も核なき世界もますます遠のいてしまいました。
今年のお話は、1「かわいそうなぞう」2「まちんと」3「いのりの石」でした。1は太平洋戦争末期、食料に窮してエサをあげられずに餓死した上野動物園の像のお話です。お腹をすかせたぞうたちが芸をすれば、エサがもらえると思い弱った体で一生懸命芸をする場面では、一途な像の姿に涙を禁じ得ませんでした。2は原爆で焼け爛れ死ぬ間際の女の子の口に、お母さんがトマトを一かけ入れてあげると、「まちんと(もうちょっと)」と言ってこと切れたわが子とその母の哀れさに胸が張り裂けそうでした。3は、原爆投下で廃墟と化した広島の市内を走っていた市内電車の路線敷石に、広島の人々が平和のメッセイジを刻み世界各国にその石を平和の使者として届けたというお話です。戦争を体験していない私たちは、大人も子供も、戦争体験の生々しいお話を聞くことで、心を揺さぶられ、恐怖や怒り、涙や悲しみの感情が沸き溢れます。お話の会に参加したひとりの男児が涙を流していたことを後で聞いて、8月の戦争の読み聞かせを続けることの大切さを実感しています。
 

No257令和6年8月号「写真の魔法」

「写真の魔法」
玄関ホールの掲示板に担任のコメント入りでクラスの写真が貼ってあります。お迎えの時間帯にはその写真を見る保護者の姿をよく見かけます。その掲示物を写真に収めている方もいらっしゃいます。「保育園での子供の様子を知りたい」という保護者の声をよく耳にします。保育園で自分の子が先生やお友達と楽しく仲良く遊べているかどうか、親御さんにとっては一大関心事に違いありません。写真の中のわが子の表情から、それを読み取ろうと、パパもママは食い入るように写真を見ているのではないでしょうか。保護者の皆様のご希望に少しでも答えるために、今年度は写真撮影デーを第一第三金曜日に設けています。行事以外の日常の保育園でのお子様の姿を自由に撮影して成長の記録として残して下さい。その他にも習い事の保育参観も行っています。お忙しい事とは思いますが、どうぞお気楽に保育園に足を運んで自由に写真をお撮りください。ただ、一つだけ必ず守っていただきたいルールがあります。SNS等のデジタルツールやポスターなどに載せたり使用することは禁止です。個人情報の管理は、保護者の皆様一人ひとりの責任にかかっています。トラブルが起こらないようにみんなで気をつけましょう。
ところで、保育ドキュメンテーションという言葉を聞いたことがあるかと思いますが、保育現場でかなり浸透してきています。保育ドキュメンテーションとは、イタリア発祥の教育思想で子どもの活動を写真や動画、音声、文字などで視覚的に記録するというものです。子どもの試行・探究活動を具体的に記録し、子ども自身が活動を振り返り次の活動へ活かすことを目的としています。これを今年度から始めた自由保育に活用していきたいと考えています。子どもの関心・意欲に基づき、子どもが主体的に参加することを狙いとした自由保育に進展が期待できることと思われます。
家庭でも保育園でも写真をどんどん撮って子供の成長に役立てましょう!
 

No256令和6年7月号「実のなる木」

園庭には背の高い大きな木が三本あります。
一本は、ライラックで、今年の4月白いかわいい花を咲かせました。この木は、三年前、在園児・保護者・卒園児・職員すべての保育園関係者に、人気投票で一位に選ばれ、彩の国保育園のシンボルツリーとして、その年の卒園式に卒園児が植樹祭を行い植えつけた記念すべき映えある木です。二本目の木は、桂の木で、人気投票で僅差で二位になり、捨てがたかったので植えることになりました。「伸びろ、伸びろ、天まで伸びろ」の彩の国保育園のキャッチフレーズに相応しくまっすぐ上にグングン伸びています。三本目の木は、もみの木です。クリスマスツリーの木として有名ですが、本物はなかなか見られません。暑さに弱い木なので正面玄関の奥の方にいつも鎮座して、若葉のフレッシュグリーンが私達の目を楽しませてくれながら、12月の出番を待っています。
これらの三大樹木は、背の小さい子供たちにはなかなか目に入らないようで、ナスやピーマンやトマトの野菜の苗の方に興味があるようで、中には、小さな実を見つけてせっせと収穫にいとまがない子供たちもいます。
そんな子供たちのために、四本目の木を植える時には、実のなる木を植えてみようと思います。実のなる木にはどんな木があるのでしょうか。植栽に興味のある方、是非アドバイスをお待ちしています!
 

No255令和6年6月号「卒園生ボランティア大活躍」

ホームページやポスターをご覧になりご存じの方もいらっしゃると思いますが、地域食堂『サロン・ド・カフェAYANOKUNI』が、先週の日曜日(5/19)に開催されました。前進の『シニアカフェ』を発展させ、シニアに限定せず、あらゆる世代が集える会に生まれ変わりました。子どもからシニアまでだれでも参加でき、会食してお腹を満たし、イベントを楽しみながらコーヒー&デザートをお共におしゃべりをいっぱいして心を満たし、安らぎ憩うひと時を過ごす場所にしていきたいと思っています。地域交流の場として保育園を地域に開放し、人と人とのふれあいを促し、お互い協力し助け合うコミュニティを作る為に、どうか保護者の皆様方にもお知恵やご協力・ご支援をお願い申し上げます。
今回は、卒園生全員に、往復はがき(今時、存在も使い方も知らない若者が多かった😅)を出して、参加者とボランティアを募ったところ、ボランティアとして小学2年生から高校生までの7名と保護者3名、合計10名の応募がありました。当日カフェの店員として、会場づくり、食器準備、受付、ホールの仕事(注文・配膳・片付け)など多くの仕事を手伝ってくれました。仕事を分担しながら和気あいあいと協力してお手伝いする卒園生の姿を見ていたら、目に見えない絆で結ばれているような感じが伝わってきました。それは、彩の国保育園児として、同じこの場所で幼児期を過ごした共通の記憶が、無意識のうちに同級生たちを結び付けているようで、不思議な力の存在に身震いしました。幼児期の記憶は、この絆パワーの他にも、卒園生一人ひとりの内に不思議なパワーを蓄積させているかもしれませんね。地域食堂のボランティア活動の中で発見するのが楽しみです。
 

No254令和6年5号「保育環境に新しい空間を」

「よく学び、よく遊ぶ」という言葉がありますが、遊びながら学んでいく乳幼児期のこどもにとっては、
「よく遊び、よく学ぶ」という言葉がふさわしいのではないでしょうか。こどもの成長に不可欠な遊びですが、どうしたら自ら進んで遊ぶようになるのか保育士はいつも考えて頭を悩ませています。学校の先生のどうしたら自ら進んで勉強するようになるのかという悩みと同じ(?)かも知れませんね。そんな中、彩の国保育園の先生たちも今迄の保育を振り返り、自由保育(見守る保育)を本年度から取り入れることになりました。こどもの声に耳を傾けこどもの興味や関心を知り、こどもが自ら意見を述べる場を作り、自分の頭で考えて行動することを促すのが自由保育です。先ずは、自由に選択できる遊びの空間(コーナー)を作りました。おままごとコーナー、秘密基地コーナー、ちゃぶ台コーナー、ベンチコーナーetc…思い思いのコーナーで遊ぶ姿が見られます。これから、子ども達が興味や関心を持つ新しいコーナーが続々生まれることでしょう。子どもの遊びを見守る私達大人もワクワク、ドキドキしてきます。こども心を呼び覚まし、自分たちがこどもの頃夢中になった遊びが、今のこどもたちの心も捉えるかも知れません。乞うご期待!

No.253令和6年度4月号「創立20周年に向けて」

  彩の国保育園が笠原に移転して新築園舎で本格的に保育園運営を開始してから、今年度で20周年を迎えます。移転当時は、保育園周辺は、まだ空き地がいっぱいあり、畑を耕したり草地で駆け回って遊んだりしていましたからこの20年の間に環境は激変しました。東日本大震災、老朽化による園庭総合遊具の撤去、園舎増築、認可保育園への移行、コロナパンデミック等様々な出来事があり現在に至っています。第一回卒園生は、既に社会人となり、今年の4月から、第5回卒園生の一人が、卒園生第一号保育士として、彩の国保育園に入社します。卒園生が社会を担う時が来たことを実感しています。 
さて、この20年の間に社会は大きく変わり、保育行政が転換期を迎えています。日本は少子化が進み政府は少子化対策に本腰を入れ、「こどもまんなか社会」の創設を打ち出しました。その法的根拠を規定した「こども大綱」は保育園だけに関わる法律ではなく、政府の全般的な施政方針ですが、乳幼児を養護・教育する保育施設は、この大綱に基づいて、大きく変貌することが予想されます。「保育に欠けるこども」を預かる今までの保育園から、地域住民すべての福祉に関わる福祉施設になっていくことでしょう。20年間保護者と一緒に培ってきた彩の国保育園の保育は、「こども大綱」との共通点がいっぱいあります。良い点は残し改善すべきは改善して、まずは、【こどもの意見を聞く】ことから始めるために、自由保育を導入する予定です。保護者の皆様のご意見を聞きながら進めて参りますので、どうか、ご協力・ご支援をよろしくお願いいたします

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