保育雑感

No.213令和2年12月号 「ウイルスのパンデミックの歴史に学ぶ」

日本は今、コロナ感染拡大が止まらず、パンデミックの危機に直面しています。日本の1日の国内感染者数は最多を更新し続け、茨城県でも過去最多の55人になりました。世界の感染者数は80万人を超え、終息の見通しが立たず社会不安が高まる中、どのような行動をとるのが最善なのか、迷い戸惑っている人も大勢いる現状です。目に見えないコロナウイルスとの戦いの中で、東日本大震災の記憶が甦ります。津波といいウイルスといい自然界の猛威を目の当たりにして、私たちは言葉を失ってしまいます。しかし、大震災からもうすぐ10年が経ちますが被災地は復興の歩みを一歩一歩進めて来ました。百年に一回の割合で大津波に見舞われても幾度となく立ち直ってきた日本の歴史から、不屈の精神や知恵や教訓を学ぶことで、復興を実現してきました。津波より頻繁に発生し甚大な被害を及ぼすウイルスに、人類がどのように対峙してきたかは、歴史に克明に記されています。その歴史を知ることは、ウイルスが猛威を振るう中で、私たちが生き延びるためには、大いに役立ちます。また、感染に伴う「差別」などについても知ることができます。百年前、全世界で大流行した「スペイン風邪」の歴史は、今回のコロナウイルスの解決にとても参考になると言われています。「スペイン風邪」の波は3波あり1年で終わらなかったそうで、今回のコロナにも当てはまるとすれば、焦らず、気を緩めず、感染対策を怠らない事が、終息への近道かもしれません。ワクチンの完成ばかりに頼らずに、コロナ終息のために、私たちが役に立てることもいっぱい有りそうです。東日本大震災の復興をお手本にして、みんなで力を合わせてコロナ後の日本の再生を目指しましょう。

No.212令和2年11月号 「スポーツフェスティバルと新様式」

5日間に渡るスポーツフェスティバルは、どのクラスも無事に予定通り行うことができ、コロナ禍で初めて保護者参加行事が挙行できたことに、安堵と大きな喜びを感じています。認可保育園への移行と時を同じくして起こったコロナ感染拡大による非常事態に、不安を抱えながら新年度はスタートしました。通常の保育が行えない中、春の親子遠足と夕涼み会の二つの保護者参加行事も中止せざるを得ませんでした。このような経緯をたどる中、先生たちはせめて運動会は、何とか開催できないものかと、知恵を絞り、クラスごとのスポーツフェスティバルを考え出しました。初めての事なので試行錯誤を繰り返しましたが、最終的には例年と比べても遜色ない仕上がりとなりました。コロナ禍でも楽しい思い出を残してあげたいという先生たちの熱い気持ちが子供たちにも伝わり、子供達の意欲も気力も例年以上のものが有りました。勿論、例年の盛大な雰囲気は望めませんでしたが、「ゆっくり、じっくり子供の演技を見ることができて、こんな形もいいですね。」という声をたくさん頂きました。
「コロナ後の新様式」という言葉をよく耳にしますが、元のやり方に戻るのではなく、新しいやり方を作っていかなければならない時がきているとスポーツフェスティバルを経験して感じました。コロナが契機となり、社会の変化は加速すると言われています。子供達が生きる将来は、どんな社会になっているのでしょうか。加速する変化の中、保育現場も将来を見据えて、新しい保育を創り出して行く事が求められています。自然と共存して人間ひとりひとりが大切にされる格差のない平和な未来が、子供達を待っていますように!!

 

No.211令和2年10月号 「実りの秋がやって来た」

秋が、やっと、やって来ました。暑い長い夏でしたね。今年の夏、水戸で一番熱い日は、8月11日の37,6度でした。年々記録更新中なのかと思いきや、4年前の8月15日と3年前の7月5日に、38,4度という最高気温が記録されていました。「喉元過ぎれば熱さ(暑さ)を忘れる」今年以上の厚さを過去に経験していたことはすっかり忘れていました。とにもかくにも、暑さから解放されて、秋という季節をしばらく満喫しましょう!
 さて、熱中症にかかることもなく、この夏を乗り切った子供たちですが、ふと気が付くと、その成長に驚かされるこの頃です。離乳食が進み、ハイハイでどこにでも行ってしまう赤ちゃん達。「せんせい」とはっきり呼べるようになったMちゃんと、自分で靴が履けるようになったT君は1歳です。自分から「おはよう」と言えるようになった2歳のH君。集団遊びに参加できるようになった3歳のS君。「今日も全部食べたよ」と野菜が苦手だった4歳のE君。全員が小さい子のお世話がとても上手に出来る様になった年長さん。彩の国保育園の子供たちも、4月から一歩ずつ成長を重ね、実りの秋を迎えています。本年度は、コロナ感染症の流行で、保育にも様々な影響がありましたが、幸いなことに、園児も職員も保護者の皆様も、自粛や努力をしながら生活を維持し、保育を中断することなく、この季節を迎えることができたことは有難い事です。そして、形態はかわりましたが、例年通り秋の運動会を開催できる喜びを感じています。友達と競技をやる楽しさ、練習を重ねて出来るようになる喜び、お父さんお母さんに見てもらう幸せ感をいつもと変わらず味わえるようにと、先生たちも工夫を凝らしながら取り組んでいます。学年ごとのミニ運動会とはいえ、子供たちの意欲は例年と変わらないかそれ以上です。保護者の皆様にも、「コロナに負けるな!エイ、エイ、オー!」の気持ちを込めて、盛大な応援をお願い致します。

 

No.210令和2年9月号 「大内さんの戦争体験」

彩の国保育園で、長年に渡り読み聞かせをして下さっている大内節子さんは、子供たちからも「おおうちさん」と慕われている近所の方です。4度目の成人式を迎えましたが、若々しく、畑仕事に精を出したり、お琴や日本舞踊など趣味の傍ら、ボランティア活動にも精力的に取り組んでいらっしゃるスーパーおばあちゃんです。先月号でもお伝えしましたが、8月6日に毎年恒例の戦争の読み聞かせの催しを企画していましたが、満を持して大内さんご自身の戦争体験談を語って頂くことになっていました。ところが、コロナウイルス感染がまた増えて来てしまったので、やむなく中止せざるを得なくなってしまいました。そこで、私が取材に行き、大内さんの代わりに子供たちに話すことになりました。
大内さんご家族は、終戦を朝鮮で迎え、命からがら日本に引き上げてきて、終戦の翌年、父親の生まれ故郷の岩手県に、やっとのおもいでたどり着いたそうです。家族10人一人も欠けることなく、戦火を潜り抜け生きのびたことは奇跡に近いといえるでしょう。その時、大内さんは、小学校2年生でした。戦争は終わったものの、食べるものがなく、いつもお腹をすかしていたそうです。飢えをしのぐのに何を食べたと思いますか?大内一家の食材は、なんと雑草でした。何でもいいからそこらに生えている草を籠いっぱい採ってくるように言われて、弟を連れて毎日出かけたそうです。採ってくると、祖母と母親が食べられる草と食べられない草を選別して、塩ゆでにして、そのまま食べたとのこと。美味しかったのは、「ノカンゾウ」「ヤブカンゾウ」。食べると下痢をするのが「ギシギシ」。硬くて美味しくないのが、「クローバー」。その他「ハコベ」、「タンポポ」「コゴミ」…などなど。このような戦争体験談なら、子供でも、興味をもって話を聞き状況を思い浮かべることはできることでしょう。来年には、大内さん本人の口から語ってもらえるようになっていることを願いましょう!
最後に、もうひと話し。大内さんは、トマトにウスターソースをかけて食べるそうです。引き上げ途中、38度線を越えてアメリカ占領地の京城(現在のソウル)で出された、ソースがかかったトマトスライスが美味しかったこと、75年後の今も忘れられないそうです。その時の味が、未だかつて最高だそうです。試してみましたが、塩がいいかなートマトは・・

 

No.209令和2年8月号 「戦後75年目に出会った2冊の本」

新しい生活様式が少しずつ日常化してくる中、本屋に立ち寄る回数も減りましたが、文具を買いに行った時にたまたま本屋の店頭に置かれていた2冊の新刊が目に留まりました。
一冊は、村上春樹の「猫を棄てる 父親について語るとき」。
もう一冊は、昨年末アフガニスタンで凶弾に倒れた医師の中村哲の「天、共にあり アフガニスタン三十年の戦い」です。
今年の8月で戦後75年を迎える日本では、戦争体験者の高齢化が進み、戦争を語り継ぐ人が年々少なくなり、戦争の記憶が風化することを危惧する声が広がっています。確かに、戦後の平和教育は「戦争は二度としてはならない」という戦争体験者の訴えに支えられている部分が大きいので、戦争体験者がいなくなったらという心配は私自身も感じていました。
しかし、この2冊の本は、戦後世代と言われる私たち自身が、戦争について体験や思いを語る時が来ていることを示唆しているように思います。
上村春樹は、多くを語らなかった父の記憶をたどることで、中村医師は、アフガニスタンの現在進行形の戦争の渦中で、生と死を見つめてきた三十年の死闘の体験を語ることで、終わった戦争とまだ終わっていない戦争の悲惨さと平和の意味を私たちに問いかけています。2冊の本から心を打つ珠玉の一文をそれぞれ紹介します。
「父の回想は、軍刀で人の首がはねられる残忍な光景は、言うまでもなく幼い僕の心に強烈に焼き付けられることになった。ひとつの情景として、更に言うならひとつの疑似体験として。言い換えれば、父の心に長い間重くのしかかってきたものを―現代の用語を借りればトラウマを―息子である僕が部分的に継承したことになるだろう。人の心の繫がりというのはそういうものだし、また歴史というのはそういうものなのだ。その本質は〈引き継ぎ〉という行為、あるいは儀式の中にある。その内容がどのように不快な、目を背けたくなるようなことであれ、人はそれを自らの一部として引き受けなければならない。もしそうでなければ、歴史というものの意味がどこにあるだろう?」
「利害を超え、忍耐を重ね裏切られても裏切り返さない誠実さこそが、人々を動かすことができる。私たちにとって、平和とは理念ではなく現実の力なのだ。私たちはいとも簡単に戦争と平和を語りすぎる。武力行使によって守られるものとは何か、そしてほんとうにまもるべきものとは何か、静かに思いをいたすべきかと思われる。」
8月の読み聞かせでは、十数年にわたり彩の国の子供たちに読み聞かせをしてくれているボランティアの大内さんが初めてご自身の戦争体験を語ってくれることになりました。小学一年生の時に朝鮮半島から引き揚げてきた体験をお持ちの大内さんが、幼い子供たちにもわかるようにと、食べるものがなくて雑草を食べた体験談を語ってくれる予定です。これからの時代を生きる子供たちに、どんな困難が降り注いでも自力で生き抜いていく力を身に付けて欲しいと願わずにはいられない、大変な時代がそこまで来ていると感じさせらせる出来事が続いています。子供たちが自分の体験を語り継ぐ時が来るまで、私たち大人が頑張っていきましょう!

No.208令和2年7月号 「オープン保育の醍醐味」

本年度初めてのオープン保育が行われました。4月に入園した子供たちにとっては、初めての体験です。
新入園児の保護者の皆様にとっても、聞きなれない言葉かと思いますが、彩の国保育園のオープン保育とは、クラスの垣根を取り払い、大きい子と小さい子が一緒に同じ遊びをする保育を言います。
今回の遊びのテーマは「おままごと」です。各クラスでは、キッチンセットをはじめ、家庭を再現するためのダンボールで作った家具や備品、それに本物さながらのピザや、ドーナツなど食べ物も揃えて、先生たちのアイデア満載の力作セットの数々が、おままごとの雰囲気を盛り上げます。
あえて、各クラスの一番人気を挙げるなら、そら・たいよう組はピザ窯、にじ組は段ボール押し入れ、よつば組は、画面が変わる大型テレビ、もも・たんぽぽ組は本物そっくりなお寿司と海苔巻きです。
0歳~6歳のこどもたちが、4グループに分かれ1クラスを1家族とみなして、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、赤ちゃんなどの役になって、思い思いに好きな遊びをやります。同年齢の子ども達との遊びの中では、見られない光景があちこちで見られました。
大きい子たちが先導する遊びの中で、小さい子たちは、見様見真似で大きい子と一緒に遊ぶことで、刺激を受けたり、遊んでもらう楽しさを味わいます。
逆に、大きい子も、小さい子との関わりの中で、お世話をしたり教えてあげたりすることで、お兄さん、お姉さん意識を高めることができます。人としての成長には欠かせない大事なことを、異年齢保育の中で子ども同士で学び合います。それが、オープン保育の醍醐味です。
 オープン保育は今年で4年目になりますが、回を重ねる中で子供たちの遊びにも変化が現れてきました。今回感心したのは、子ども同士の会話が活発に行われていたことと、自らの発想で遊びを発展させていたことです。例えば、よつば組のYちゃんは「熱がでちゃった」と言ってベッドに寝たり、たいよう組のY君はピザ窯に「火をつけよう」などと遊びを作り出していました。 今回のオープン保育を皮切りに、これからは、毎週木曜日は、オープン保育の日(月3日)です。今年は、どんな遊びが展開されるのでしょうか。仕掛ける先生たちもワクワクしています。乞う、ご期待!!

No.207令和2年6月号 「牛乳パックのリサイクル」

先月この紙面で、給食風景を紹介しましたが、子供達は、給食時には、ほとんど毎日、牛乳を飲んでいます。成長期に欠かせない栄養素が満遍なく入っている牛乳は、給食の定番メニューです。牛乳が苦手な子も数名はいますが、大概は「おいしい!」と言ってごくごく飲んでいます。
今回は、牛乳そのものではなく、牛乳パックの話です。毎日山のように牛乳パックがゴミとして出るので、水戸市が4月からゴミの分別を徹底して資源ゴミ回収を推進していることを受け、保育園でもリサイクルに取り組むことにしました。そのまま捨ててしまえば、ただのゴミとして、焼却されて、地球温暖化を促進するCO2を排出します。リサイクルすることで、消エネ、CO2削減、ひいては、環境保全につながり、地球の自然を守ることになります。子供たちにリサイクルの方法やその意義を知ってもらう良い機会でもあるので、「洗って、開いて、乾かして」の作業をやってみようということになりました。調理室で、牛乳パックを洗って乾かしてもらい、年長さんが、ハサミで切り開きます。固い牛乳パックを切るには、指の力が必要なので、ハサミを使うスキルがどんどん上達して、今ではあっという間に切り終わってしまうとのこと。牛乳パックのリサイクルで、トイレットペーパーやテッシュペーパーが再生されます。1ℓ牛乳パック6個で、トイレットペーパーが1個作れるうえに、140gのCO2が削減できるのですから一石二鳥です。リサイクルに興味のある方がいらっしゃいましたら、子供たちのリサイクル活動に、どうかご協力お願いします!
ところで、コロナの感染拡大は牛乳消費にも影響を及ぼしています。臨時休校や飲食店の営業自粛で消費が5割も落ち込み、牛乳生産最盛期の6月をひかえ、廃棄しなければならない現状だそうです。農林省はそんな牛乳業界を救うために、「毎日牛乳をもう(モー)1杯、育ち盛りはもう(モー)1パック」のキャッチフレーズで「プラスワンプロジェクト」を立ち上げたそうです。私達も、もう1杯、育ち盛りはもう1パック飲んで、協力しましょう。もちろん飲んだ後はリサイクルもお願いしますね‼

 

No.206令和2年5月号 「お昼ごはんの風景」

新しい園舎になって、子ども達の園生活の様子がだいぶ変わりましたが、中でも、自園式の給食提供により、お昼ごはんの風景が一変しました。1,2歳児はトレーに1人分ずつ配膳されてきますが、3,4,5歳児は、小学校のように、調理室からワゴンで運んできたお料理を、担任の先生が、皆の前で、一つずつ配膳します。それぞれの容器に入ったご飯、おかず、汁物、デザートを食器に盛り付けて、一人一人に配ります。時間は少々かかりますが、子ども達は、メユーを品定めしながらお行儀よく待つことが出来ます。
全員に配り終わったら、さあ、お待たせしました。元気な「いただきます」のご挨拶で、お昼ごはんの始まりです。
本日のメニューを紹介しましょう。おひつ(今は食卓にほとんど登場しません)からお茶碗によそられたふっくらホカホカご飯。
野菜たっぷりの色鮮やかな野菜のおかか和えと子供たちの大好きな豚丼!!それに和食に欠かせない具だくさんのお味噌汁。デザートのオレンジもあります。子ども達の食べ方を見ていると興味深く、色々な食べ方が見られます。御飯だけを先に食べる子、おかずだけを先に食べる子もいれば、一気に味噌汁を飲み干してしまう子もいます。御飯、おかず、味噌汁を順番に食べるとよいと思うのですが、(これを三角食べといい1970年代の給食指導で推奨された食べ方ですが、是非があり、今はあまり指導していない)その子にとって一番美味しい食べ方があるのでしょうね。お弁当にはない、お給食のよさは、おかわりができること。好物はいくらでも入るとみえて、何回もおかわりしている子がいっぱいいます。また、配膳して食べることで、家族的で和やかな雰囲気が生まれます。「同じ釜の飯を食う」ということわざがありますが、子ども達の仲間意識や絆が深まる事も有りそうです。
食育の観点からも、利点があります。残量や種類を見極め、栄養士と調理師の専門的なアドバイスを受けて、食育指導を適切に行えます。保育士達は、子度緒たちが好き嫌いを無くし、栄養バランスの摂れた食事を摂る習慣を身につけて、健康な身体を育んで欲しいと思って、毎日食事指導に奮闘しています。早速成果が現れて「残食なし」というトッピックスがにじ組さんの掲示板に載っていました。
保育士の声も、紹介しましょう。「家では、魚を食べないけれど、おいしく食べられました。」「毎日、給食が楽しみで、メニュー表をみてしまいます。フフフ・・」
「おいしい!」と言う言葉を聞くために、この仕事をやっているという調理師の野村さんにこの話を聞かせたら、益々腕によりをかけて美味しいお昼ごはんを作ってくれることでしょう。

 

No.205令和2年4月号 「新・彩の国保育園のスタートに向けて」

4月からいよいよ彩の国保4月からいよいよ彩の国保育園は認可保育園として新しいスタートを切ります。今までは個人経営の認可外保育園として、16年間に渡り保育に携わって参りましたが、本年度からは、法人として株式会社スリーイングが運営を行います。認可保育園としての責務を自覚し、より高いサービスを心掛け、地域の福祉に少しでも貢献できるように、新たな気持ちで保育に邁進する決意です。運営主体は変わりますが、彩の国保育園の方針は、そのまま引き継ぎ、「共に育て、共に育つ」をモットーに、家庭と保育園が手を携えて、子ども達の養育にあたることで、安心安定した環境を作り、子どもが子どもらしく成長し、豊かな人間性と生きる力を養い、親、子、保育士の三者が共に育ち合う保育園の実現に努めて参ります。
保護者の皆様の更なるご支援とご協力をお願い申し上げます。
閑話休題、1.2.3.4.5.6…無数にある数字の中で、皆様は、気になる数字又は好みの数字はありますか?ナンバーワンの「1」、ラッキーセブンの「7」、末広がりの「8」など日常生活の中で数字は色々な意味を付与されて使われています。その中で、日本人が最も好む数字は「3」だそうです。「3」は調和、安定の数字だと言われており、日本人の気質に何か関係があるのかも知れません。ところで、実は、会社名の「スリーイング」も「3」に因んでおり「threeing」と言う造語は、「3つが進行中」と言う意味合いですが、この「3」は三育つまり「知育、徳育、体育」を表し、教育の三要素のことです。「教育に終わりは無く過程である」という意味で、子どもを育てるとは完結することなくずっと続く仕事であるという思いで、「スリーイング」と命名しました。三要素の言葉は、「天・地・人」や「金・銀・銅」、「松・竹・梅」など他にも沢山あります。ことわざの中にも「三つ子の魂百まで」「三度目の正直」「早起きは三文の得」「仏の顔も三度まで」など「3」は数多く使われています。「三本の矢」、「三種の神器」は最近よく耳にしましたが、本当に、代々日本人は「3」を特別な数字として用いてきたことがわかります。
コロナウィルスの爆発的な感染拡大で、世界中がパニック状態の現在、思い浮かべることわざがあります。日本固有の冷静で忍耐強い精神から生まれた「石の上にも三年」が終息への近道だと感じます。「三人寄れば文殊の知恵」も世界中の人々に広めたいことわざです。日本の「3」パワー出番ですよ!

 

No.204令和2年3月号 「マスク、がんばれ!」

「♪リスさんがマスクした 小さい小さい小さい小さいマスクした コンコンコンコン、クシャン!」という歌声が、にじ組さんのお部屋から聞こえてきました。
細いマスクのツルさん、まるいマスクのぶうちゃん、大きいマスクのカバさん、長いマスクのゾウさんが、次々と登場してきて、みんな最後に、くしゃみを「クシャン!」と1つします。皆この歌が大好きです。動物の名前のところに自分の名前をいれて、自分の好きな形のマスクをかけてもらって、先生に歌ってもらうのが、にじ組のブームになっています。
ところで、こんなかわいい歌の主人公のマスクが、今や、新型コロナウイルスの感染対策の最前線で、日々戦っています。「コンコンコンコン、クシャン!」で、口や鼻から飛び出すウイルスをキャッチして飛散させまいと、マスク達は、感染を防ぐ大事な任務に精を出しているのです。
日本人にとって、今やマスクはなくてはならない存在ですが、欧米諸国では、あまり、マスクは普及しておらず、マスクをしている日本人は奇異な目で見られるとか。最近のニュースで、予防のためマスクを付けてフランスの地下鉄に乗ろうとした韓国人女性が、電車から引きずり降ろされたというニュースがありました。「うつらない」ための日本式マスクの使い方は、まだ理解してもらえないようです。日本人のマスク好きは、人に迷惑をかけることを好まず、きれい好きな日本人の気質によるところが大きいそうですが、世界中でウイルスが猛威を振るう事態が続けば、日本人を真似て、世界中の人々が進んでマスクをかけるようになるかも知れません。
「うつさない、うつらない」ためには、ただマスクを付けていれば良いというものではありません。没頭のマスクをつけた動物さんのように、小さい、大きい、長い、細い、丸いなど顔の形にフィットしたマスクを選ぶことが、大切です。次に、鼻の形に合わせて針金部分を抑えて隙間のないようにし、仕上げは、ひだを伸ばして、顎まで隠すように装着します。
正しいマスクの付け方を『コンコンクシャン』のメロディにのせて、実演してみせたら、子供たちにも、人にうつさない大切さを伝えられそうです。
みんなの力を合わせて、ウイルスの暴走を食い止めましょう!!
 

No.203令和2年2月号 「昆虫チョコレートはいかが?」

もうすぐバレンタインですが、今年は誰にどんなチョコをあげようか、あれこれ考えたり探したりするのが楽しみな季節です。ネット上に、目をみはるチョコを見つけました。今にも動き出しそうなカブトやクワガタ、手を伸ばすと飛んで行ってしまいそうなチョウ、見ているだけで感触が伝わってきそうなイモムシ等々リアルなチョコ昆虫たちが勢ぞろい。彩の国の子ども達に負けず劣らずのチョコパテシエの昆虫愛が伝わってきます。食べれば美味しいチョコですが、いくら昆虫が好きでも、昆虫チョコを食べるのは、少々抵抗があるものです。ところが、世界では「6本脚のタンパク質」として、昆虫食が注目されているそうです。
フィンランドでは、スーパーで、ローストコオロギや乾燥コオロギ入りのチョコが飛ぶように売れ、コオロギの養殖農家が増加し、企業も何社もあるそうです。昆虫の食習慣がなかった欧州で、昆虫食が広がり始めている裏には、地球の食糧危機感が高まっているからです。このまま世界人口が増え続けると、2030年には90億人に達すると言われていて、食料危機を解決する手段の一つとして昆虫食が着目されているというのです。タンパク質の他に必須アミノ酸や鉄や亜鉛が含まれる上、安価な生産コストも魅力です。一方、日本では、昆虫食に対する関心はまだまだ低いのですが、昔から「イナゴの佃煮」や「はちの子」など昆虫を食べてきました。授乳中の母親が食べると母乳が出るといわれ、私も「イナゴの佃煮」を食べた記憶があります。結構おいしいし、今では高級品です。昆虫が伝統食として根付いている日本ですから、世界の食糧問題ではリーダーシップをとって前向きに取り組んで欲しいものです。
さて、バレンタインの次には、節分、立春、啓蟄と暦が進み、本当の虫さん達ももうすぐ、地上にでてくることでしょう。昆虫チョコを食べながら、昆虫たちとの再会の春を楽しみに待つことにいたしましよう。

No.202令和2年1月号 「彩の国劇場」

年末恒例のXマス会が20日に行われましたが、今年は、例年とは一味違うXマス会となりました。というのは、11月からオープン保育で劇遊びを続けてきましたが、Xマス会でその劇を発表することになり、子ども達は劇ごとに3グループに分かれて、1つのグループが演じている時は、他の2グループは観客になり、子ども達同士で劇を鑑賞し合いました。大道具や色々なセットがある上、客席を設けるとお部屋は満ぱん。演じている人とお客さんがすごく近いので、時々お客さんがセリフを言ったり、歌ったりしていることもあり、舞台と客席が一体化して、面白い雰囲気が生まれました。どんな場面が繰り広げられたのか、場面をピックアップしてご紹介します。
①オオカミと七匹の子ヤギ
キャストが全員で一列に並んで歌を歌う幕開けの場面。お客さんがあまりに近すぎて笑いがこぼれました。

②三匹のこぶた
オオカミが煙突から飛び降りる場面。オーバーリアクションと「ドスン」という大きな音に、みんな大笑い。オオカミも笑いをこらえて逃げ出しました。

③てぶくろ
両手に小さい子を引き連れて年長さんが登場する場面。
微笑ましい光景に先生達から拍手が起こりました。

見所は、その他にもたくさんありました。節分発表会の時に、保護者の皆様にも披露する予定です。劇遊びの中で、異年齢の子ども達がどんなかかわり方をするかに注目です。
乞う!ご期待!!

No.201令和元年12月号 「一年に一度!父母サンタの大仕事」

令和元年も残すところあと1か月余りとなり、また1年を振り返る時節となりました。

保育園では、年長さんが練習するピアニカのメロディーが「運動会のうた」から「サンタクロースのおじいさん」に変わり、園内は一遍にクリスマスモードに切り替わりました。一年に一度だけ、プレゼントを持ってサンタクロースがやって来るクリスマスイブは、子ども達にとっては特別な一日です。世の親達にとっても、子どもの喜ぶ顔がみたくて、サンタクロースを信じている子供に気付かれないようにプレゼントを用意するサプライズ感に、ちょっとワクワクする楽しい気分が嬉しいものです。パパ!ママ!プレゼントの用意はお早めに!当日慌ててお店に買いに行っても見つからないかもしれないので!!さて、今年は、子ども達は、どんなプレゼントを欲しがっているのか、今年の傾向はあるのかなどリサーチしようと聞いてみましたが、まだ早過ぎたようで、明確な答えは返ってきませんでした。パパママサンタも子供の欲しいものをよく見極めてプレゼントを選定してあげましょう。
ところで、もし保育士サンタが彩の国の子ども達にプレゼントを選ぶとしたら、こんな物を選ぶと思います。にじ組の子ども達には「クレヨンロック」を、そら組とたいよう組の子ども達には、「折り紙」を選ぶでしょう。この一年で、成長した子ども達が、現在熱中している遊びの中から、保育士サンタの視点で選んでみました。
にじ組の子ども達は、最近言葉が増え、二語文もどんどん話すようになってきました。(Tくんの初二語文は、「ちんちん、いたい」だったとか)運動機能もそれぞれに発達して動きが活発になり、パワーが漲っています。心の発達も目覚ましく、感情も豊かになり友達との関わり方も変化しています。ぶつかり合いも増えていますが、心の発達には欠かせない大切な試練です。そんな中で、今、子ども達は、お絵描きに興味を示しています。握力や口にいれてしまうという問題を考慮して、形や素材に拘った石ころみたいな「クレヨンロック」がよさそうです。鉛筆を持つ下地にもなるそうです。一方、大きいクラスは、年齢幅が大きいですが、「折り紙」はどの年齢の子どもでも、それぞれの遊び方ができるし、何よりも年長、年中さんがずーっとはまっているので、下の子ども達も影響を受けています。本を見ながら自分で考えて折りすすめたり、応用で独自の作品を考案したりと、折り紙は子どもの能力を引き出してくれています。恐竜や昆虫などの複雑な折り紙に挑戦する年長さんには、通常の15cm角より、すこし大きい18cm角か20㎝角の折り紙がプレゼントに相応しいでしょう。小学校入学を控えた年長さんは、発達の節目を迎え、色々な試練もあります。例えば、I君は、泣き泣きピアニカを教わっていましたが、出来た時には涙にぬれた顔には、満足感を滲ませていました。年長さんになる自覚が芽生えてきた年中さん、子ども達同士で仲良く遊べるようになった年少さん、オムツ卒業の2歳児さん、それぞれに成長を感じられる年末です。忙しく慌ただしい師走ですが、一年間を振り返り子供の成長を確かめ、プレゼントを選ぶ時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。

No.200令和元年11月号 「二百回にちなんで~園庭遊具お別れ会~」

彩の国のシンボル的存在として、14年間子ども達に愛され続けてきた園庭遊具ですが、その役目をもうすぐ終わろうとしています。園庭の景色には常に園庭遊具が存在し、その景色から園庭遊具が消えることは想像しがたく、また言葉に言い表せない淋しさがあります。園のお便りに毎月1回綴ってきた保育雑感は、今月でちょうど200回を迎えます。彩の国の子ども達の成長の証をその中に切り取ってきましたが、全園児の成長は園庭遊具と共にあったように思います。200は漢字で“二百”と書き、「ふたもも」と読むこともあります。日本語の百は、単に“100”を表す以外に“たくさん”という意味があります。振り返れば、保育雑感100回目は、東日本大震災があった年の7月にあたり、東北地方の惨状を憂いながら、松尾芭蕉が「奥の細道」で俳句に読んだ東北地方の美しい自然と歴史に慰められた心情をつづりました。一方で、文中にある有名な「百代の過客」に100回目を重ね、子ども達と歩んだ長い月日に思いを馳せたことも思い出されます。今回200回目にあたっては、卒園児を招いて開催した「園庭遊具お別れ会」に触れるのが、百の倍の二百という長い長い年月にふさわしいと思いました。園庭遊具お別れ会は再開を喜び、思い出を語り合う同窓会の相を呈し、卒園生と保護者の方々が心から楽しんでいる様子をいつものように園庭の片隅からじっと眺めていた園庭遊具は、きっと涙を流していたに違いありません。立派に成長を遂げている卒園生の姿を目に焼き付けて、その役目を終えることを喜んでいることでしょう。百代も二百代もの永遠の年月の中で、形のあるものは壊れますが、目に見えないものは、代々受け継がれていくと信じて、回を重ねていきたいと思います。
私事の蛇足ですが、中学時代の同級生3人で、卒業以来50年以上の交際を続けていますが、先日3人合わせて200歳(67.67.66)を祝う会をやりました。「200歳トリオ」バンザイ!!次回は、250歳祝を2036年の8月に決めています・・・

No.199令和元年10月号 「国家百年の大計」

10月からいよいよ保育無償化が始まります。保護者の皆様には、無償化に向けて、申請書類の提出にご協力頂き、有り難うございました。お陰様で、全員無事に手続きが完了いたしました。無償化といっても、ご承知の通り、すべての費用が無償になるわけではありませんが、それにしても、かなり保育料が軽減されますので、家計を遣り繰りするお母様方には、棚から牡丹餅的な幸運に、にんまりと頬が緩んでいることでしょう。頬は緩ませても、「時々美味しいものを食べましょう。」などと、財布の紐は緩めてはなりません!時を同じくして、消費税が10%に上がることをお忘れなく!!
ところで、そもそも無償化は、小学校入学前の子どもの教育が、その後の人格形成や生活レベルに大きな影響を及ぼすという教育的観点が、世界の潮流となる中で、少子化や経済的格差が急激に進む日本では、特に喫緊の課題であるとして、2017年「人づくり」の為の、新たな政策の一環として、閣議決定されたものです。社会の変化が激しく、未来の予測が困難な時代を生きる子ども達に必要な資質とは何か?そのためには、幼児教育の在り方はどうあればよいのか?2018年に施行された新しい保育指針には、育みたい「10の姿」をこれからの保育が目指すものとして示しています。そのためには「認知能力」よりも「非認知能力」を培うことが幼児期には効果があると謳っています。「非認知能力」とは、協調性、創造性、意欲、忍耐力、粘り強さなど学びに向かう力や姿勢のことです。知識・技能を習得し、活用する能力の「認知能力」を伸ばすことより、子ども同士の関わりや体験などによって得られる能力の方が、これからの時代を生きる子ども達には、より大切になってくるということでしょう。
保育の無償化が「人づくり」の国家百年の大計にどれだけ寄与できるかは、現場の保育士の頑張りにもかかっていると言えるのではないでしょうか。

No.198令和元年9月号 「水戸の名物祭りの1つになるか?彩の国夕涼み会!」

夜店、太鼓の音、盆踊り、花火・・・・夏の祭りの風物詩は、大人達にとっても何か郷愁を誘うなつかしさで胸がワクワクするものです。そんな子供も大人も一緒に楽しめる夏祭りを初めて保育園の行事として、企画しました。「夕涼み会楽しかった!」という声がたくさん寄せられたことは、嬉しい限りです。試行錯誤しながら、準備に時間をかけて取り組んできたその甲斐がありました。
なんと言っても、夕涼み会を盛り上げたのは、手作り神輿と山車、それに頭上に揺れていた手作り提灯でした。神輿と提灯と言えば、今年の黄門まつりでは、巨大神輿と水府提灯行列が初めてお目見えして話題となりました。何でも巨大神輿は、全国の市町村が所有する神輿の中で一番大きいものだそうです。また、水戸の提灯生産量は、全国第3位!!黄門まつりを全国的にアピールする水戸観光課の戦略だとか。黄門まつりはさておき、彩の国の神輿と提灯だって負けていません。そら組の昆虫神輿、たいよう組のオクトパス神輿、にじ組のアンパンマンの山車、どれもアイディア満載。見上げれば一人一人の手作り提灯が、風にはためいて風情満点。「ワッショイ!ワッショイ!」「ドンドコドンドコ」ねり歩く子ども達は、きっと祭りの楽しさを全身で楽しんでくれたことでしょう。ラストの花火シーンのみんなの笑顔も印象的でした。
皆が、祭り気分に酔いしれ、盛り上がった陰には、夜店のお手伝いをしてくれたお父さんたちの活躍があったからです。本職顔負けの働きっぷりに感謝です。祭りには無くてはならない粋のいい男衆達、ありがとう!!来年も頼むよ!!

No.197令和元年8月号 「昆虫の不思議 その2」

皆様は「蝶道」という言葉を聞いたことはありますか?アゲハチョウの仲間は飛ぶルートが決まっていて、その道を「蝶道」というそうです。このアゲハチョウが、時々、彩の国の園庭に姿を現し、南西から北東へヒラヒラ通り抜けることがあります。「あっ!アゲハチョウだ!」と子供達は見つけますが、追いかける間もなく、飛び去ってしまいます。いつも午前中、いつも同じルートですが、たまたまそうなのか、あるいは、園庭に通っている「蝶道」を飛んでいるのか、飛び去って行くアゲハチョウを眺めながら、いつも疑問に思っていました。
そんな折、アゲハチョウと思われるイモムシを、園のキンカンの木の葉っぱの上に一匹見つけました。数日間、そっと、観察を続けていたところ、イモムシは3日間葉っぱを食べ続けました。ところが、4日目の朝、姿が見えません。鳥にでも食べられてしまったかと思いきや、なんと、木の傍の玄関の壁に張り付いていたではありませんか。「なぜこんな所に?」と不思議に思いながらも様子を見ていると、次の日は、体を弓なりに丸くして、クモの糸のようなもので、頭とお尻を壁に固定していました。そして、その日の夕方には茶色に変色してさなぎになっていたのです。一連の出来事から推察すると、保育園にキンカンの木があるのを知っていて卵を産み付けるために「蝶道」に導かれてやってきたと思われます。アゲハチョウ、恐るべし!!今は、玄関のサナギの羽化をそっと見守っています。実は、あと2匹イモムシが、キンカンの木のなかで葉っぱを食べています。その他に、イモムシ一歩手前のウンチみたいな4齢幼虫も隠れています。フェンスの外からそっと探して見て下さい。

イモムシ観察日記

No.196令和元年7月号 「昆虫の不思議 その1」

「生き物とおしゃべりするには、観察するのが一番だ。子どもの頃、ぼくは、虫と話がしたかった。お前何処に行くの。何を探しているの。虫は答えないけれど、いっしょうけんめい歩いて行って、その先の葉っぱを食べはじめた。そう、お前、これが食べたかったの。言葉の代わりに、見て気がついていくことで、その虫の気持ちがわかる気がした。するとかわいくなる。うれしくなる。」文中のぼくとは、大人になって、日本の動物行動学の生みの親となる日高敏隆少年です。虫とこのような会話をしながら観察を続けた結果、昆虫の不思議を次々と解き明かして、私達に昆虫たちの魅力をたくさん教えてくれました。
今回は、数ある昆虫の不思議のなかでも、不思議中の不思議、「カマキリの積雪予知能力」について紹介します。雪国では、秋、カマキリが高い所に卵を産むと、その冬は雪が深いという言い伝えがあるそうです。保育園でも最近カマキリの赤ちゃんを一匹みかけましたが、わたあめみたいな形をした卵を誰しも見たことはあるでしょう。茨城は積雪がないので、何処に卵を産み付けても、雪で凍結する恐れはありませんが、雪国では、雪に埋もれてしまう高さに産み付けては、卵は孵りません。十数年にわたる観察と実験により、今では、その言い伝えが本当であることが証明されています。カマキリは産卵する場所の来たるべき冬の雪の深さを秋にはすでに予知して卵を産んでいる訳ですが、一体どうしてそんなことがわかるのでしょうか?カマキリ恐るべし!このカマキリの能力の仕組みは、いまだ解明されていません。彩の国の昆虫少年少女たちよ、将来、昆虫博士になって、この謎に迫り、解明して下さい!!

No.195令和元年6月号 「オープン保育でおままごと~室内バージョン~」

4月に引き続き、今月も、オープン保育でおままごとを行いました。手作りダンボールキッチンをメインに、お家の中にある家具や道具を揃えて、家庭生活の場を再現しました。寝室、ダイニング、浴室、居間を作り、冷蔵庫にテレビ、掃除機(先生達のアイディアが光る出来栄え)などの家電を揃えたマイ・ホームで、大家族の生活が、展開されました。幸せ家族を演出する「○○ハウス」のテレビコマーシャルのように、楽しい我が家の光景があちらこちらで見られました。その中でも特に楽しそうだったものトップ10をランキングで、ご紹介します。
10位:山ほどの洗濯だって朝飯前! 9位:お料理上手なお父さん! 8位:赤ちゃんのお世話だってできるもん! 7位:お風呂で大はしゃぎ!
6位:テレビ生(?)出演! 5位:家族団欒、楽しい夕飯! 4位:お料理上手なお母さん! 3位:ワンちゃんのお散歩(本当にペット飼いたいな)2位:エンドレス掃除機かけ! 1位:手動テレビを見ながら家族団欒!
以上1位~10位ランキングに該当する写真をホームページの画像で探して見て下さい。この他にも、微笑ましい場面がいっぱい映っています。
「おままごと」は、楽しめない子が誰一人としていない、素晴らしい遊びだと改めて思いました。

No.194平成31年5月号 「青空の下、おままごとオープン保育」

クラスの壁を取り払って、0歳~6歳までみんなで一緒に遊びましょうと始まったオープン保育は、回を重ねて、今年で3年目となりました。そこで、今年度最初のオープン保育は「おままごと」がテーマ。家族の構成メンバー(父、母、兄姉弟妹、祖父、祖母、ペットなど)が遊びの中で役割りを持って遊ぶ「おままごと」の面白さを、子供達にもっと知って欲しいという保育士の思いがあります。園庭にキッチンとダイニングスペースを作り、電車の線路と駅も設置し、園庭全体を使えるようにセッティングしてみました。2回目は、土とペットボトル水道を追加し、3回目はペットの犬も用意しました。その様子はH・Pの写真でご覧頂いたように、小さい子と大きい子が一緒に遊ぶ光景が園庭のあちらこちらで見られました。また、泥だんご作りや、ペット犬のお散歩など楽しい遊びに広がりました。さて、5月からは、おままごとの舞台が室内に移ります。先生達手作りのダンボールキッチンを使ってどんな楽しいおままごとあそびが展開されるか、とても興味深々です。
ところで、「おままごと」の「まま」とは、「飯」のことで、この遊びは、「お医者さんごっこ」や「お店屋さんごっこ」などの『ごっこあそび』と言われる遊びの一種ですが、子供が、お父さん役やお母さん役など家族のメンバーの役になって進行する家族の生活の再現遊びとでも言えましょうか。おままごと中の子供の会話や行動には、日常生活がそのまま現れます。例えば、ママの口癖やパパの行動等々・・・(パパ、ママ、言動に気を付けましょう)
ところで、「家族」といっても昨今は、結婚観や夫婦の役割分担意識など、以前とは変わってきています。そんな中で、子供のおままごと遊びにも時代の変化が反映されていきます。例えば、おじいさん、おばあさんが、あまり登場しなくなったり、お料理を作るのがパパ役だったりもあります。子どもは、時代感覚を、遊びの中で、自然に身につけて行くのですね。子供の遊びは、大人社会を映し出す鏡とも言えるかもしれません。

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